謙遜と媚び


 謙遜は自分を下げる、媚びは相手を上げる。謙遜を悪く言えば卑下であり、媚びを良く言えば尊敬である。

 どこに差があるのだろう。「言い方の違い」と結論付けるのは簡単だ。卑下や媚びは自分のためだが、謙遜や尊敬は相手のためであるとありがちにまとめることも出来る。それだけではどうにも物足りないので、もう少し考えてみる。


 例えば、自分が上手く仕事を切り盛り出来ている。それを誰かに誉められたとしよう。その際に「いやいや、僕なんてまだまだ……」と返すのは、謙遜か卑下か。

 話し方が前向き(今後更に成長していきますよ)に見えるか、後ろ向き(ここが頭打ちで成長することもない)に見えるかで分かれるのだろうか。それとも会話を聞いた第三者が「あの人って弁えてるよね」と好評を出したら謙遜になるのだろうか。あとは、何か悪いことをした際に、自分を過小評価していることを言い訳にしたら卑下になるとか。

 自然さというのはどうだろうか。卑下や媚びというのは、自分を下げたい(相手を上げたい)あまりに明らかにこじつけくさい理由をつけることがある。その強引さ加減で線引きを行ってみるとか。


 今回の教訓は、実際に例示してみることの大切さである。

 机上の空論から少しだけ現実に寄って案を検討してみると、イメージもつきやすいし、新しい観点も出てくるだろう。

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