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マインドフルネス


 瞑想はコストパフォーマンスが良い。

 追い詰められた時、焦りを自覚した時、三分……いや、一分でも良い。目を閉じて、深呼吸をする。

 対策を考えるでもなく、ただ、呼吸することに意識を集中するだけだ。


 たったこれだけで、問題が思ったよりも大きくないことに気付く。驚くほどに冷静になっているのが分かる。

 どういう感覚なのだろう。確かに目を閉じる前後で状況は変わっていないのだが、どこか他人事になる……というか、冷静だった時の自分がやって来るというか。

 自分を変えるのは他人を変えるよりもずっと楽なことだ。気遣う必要もないし、誤解を恐れることもない。 

 瞑想を使った自分のリセット作業は、追い詰められた時にも使えるが、能動的に使うことも出来る。新しいことをするモチベーションを高めるために目を閉じるわけだ。

 私生活で例えると「踏ん切りがついたら」別のことをするという手順を取ることがそこそこあって、いつまで経っても踏ん切りがつかずにズルズル同じ作業を続けてしまうことがある。これもまた、目を閉じて今ある意識の流れを断ち切ることで、踏ん切りをつけることが可能かもしれない。


 マインドフルネスの意味をWikipediaで調べてみると「今、この瞬間の体験に意図的に意識を向け、評価をせずに、とらわれのない状態で、ただ観ること」とある。

 過去や未来の不安は置いておく。今の状況についても、良し悪しは考えない。息を吸って吐いていることは、地球に住んでいる(古今東西の)あらゆる大富豪、あらゆる天才、あらゆる一般人、あらゆる犯罪者etc. に共通していることである。

 瞑想によって不安が解消されるのは、自分が受けている苦難についても、世界中の人間が既に経験し、克服していることであるのだと、安心出来るからではないかと思っている。

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