天が与える正しさ
目が覚めたら、そこは一面が真っ白な空間と、髭を生やしたお爺さんが一人。
「うっかり殺したが、別の世界救ってくれ、どんな能力でも与える」と言うので、手短に「自分の発言が世界のルールになる能力」をもらって、第二の人生をを始めることに。
救うと言われても何して良いかわからないので、「毎日金と食料、武器を献上すること」「自分に危害を与えないこと」を世界に命じた。
それから毎日天から金貨、肉や野菜、槍や斧が降ってくるようになった。第二のルールによって自分目掛けて剣が落ちてくることも、嫉妬した村人に襲われることもない。
悩みごとを聞きに王宮に向かおうとしたのだが、空から落下してくる投石器や棍棒の巻き添えになる人が出てきたものだから、世界に命じて「諸悪の根源」を連れてくることにした。
すると辺りが騒がしくなる。音は大きくなっていき、多くのものが一斉にこちらにやって来ることが予想された。
自分で選んだことなのに、えらく面倒に感じる自分がいる。ここで「悪を滅ぼせ」なんて命じたら、ハルマゲドンが起こるのではないか。
大体「何でも与えるから世界を救え」と言うのなら、ただ一言「世界よ、自分自身を救うのじゃ」と命じればいいじゃないか。髭の爺さんにとっては数多ある世界の一つなのだろうし。
それとも、神自身が正しさを決めかねているのか。それでは世界のルールとは何なのか。これからやって来る諸悪の根源とは、何にとっての諸悪なのか。
……ここまで書いて、俺は自分の体が徐々に透明になっていき、何度タップしても文字はスマートフォンに入力されなくなり
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