締切を設ける
締切なんて聞くと、不安で堪らなくなり、なくなればいいなんて反射的に思ってしまうものだが、なければないで問題がある。
単刀直入に言うなら、延々と引き伸ばし続けてしまうのだ。引き伸ばすことで、どれだけ損失が出ようともお構い無し。
今までの経験則で痛感している。追い詰めなくては、人は動かない。いや、動けない。すべての物事に神経を張ることは出来ないから。物事に優先度をつけ、高い方から処理していくが道理なのだ。
締切とは優先度を上げる為の初歩的かつ、これ以上ないほど的確な方法である。
……と言うのは簡単なのだが、実際のところ、印象に残る締切の思い出というのは大体が明らかに守らせる気のない、無茶振りに近いスケジュールであるから、苦手意識というのが出てしまう。
他人から渡された締切もそうなのだが、自分で定めた締切でも同様のことが発生する。要するに、全体像を把握しないまま見切り発車で立ててしまう場合。後でぼこぼこと作業が増えて「こんなはずでは」となるパターンである。
後は重要ではあるのだが、締切を自分で定める必要があるもの。人生の選択と言い替えてもいい。
引っ越し、結婚、転職……創作活動ならばコンクールへの応募など、人生における選択とは他人に指示されることも稀にあるが、原則は自分の意思で決めることになる。
目を向けたくないという思いもあってか、どんどんと先伸ばしにする。長くあったはずの期限は眼前のタスクやら手軽な快楽に時間を費やしている間に消えてしまう。昔のある偉人が「人間はごく僅かの出来事の時を除いては自分の年齢を意識しない」と述べていた通りである。
しかし、当たり前の話だが、ヒトの命は永遠ではない。だから細長いリボンのような人生の各地点に線を引き、期限を守るために精一杯励んでいかなくてはならない。
それは地位や名誉や金銭のためではなく、自身の納得の問題に起因する。
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