悪辣な批評家

 

 創作活動において、他の方からの評価は一つの華である。

「面白い」「興味深い」と言ってもらえれば嬉しいし、その逆は悲しくなるはずだ。

 評価に関する話題は多くの方が挙げているので、今更にはなるかもしれない。深く読み解いてくれた方への感謝もあれば、心無い発言によってショックを受けた話もあるし、そもそも評価されないという愚痴もある。

 どのケースも数こそ少ないが経験はしているので、自分なりの結論だけを簡潔に述べよう。


――他人の言うことをすべて聞く必要はない。だが、自分の中には自作専門の批評家を飼っておくべきだ。


 この自作専門の批評家と言うのは、とびきり悪辣な人物がいい。

 例えるなら、どんな些細な穴でも許さない完璧主義で、しかもネチネチと攻撃的に指摘してくる。その上で自分では解決案を何も提示しようとしない、根っからのクレーマー気質である。

 目的は単純、自分で予防線を張った方が気が楽になるからだ。予想された痛みというのは、予想外の場合に比べて大幅にダメージが少なくなる。自分で自分の腕を思いっきり引っぱたくよりも、他人に不意に小突かれる方がショックが大きいのと同じこと。

 時間の都合もあって、細かい誤字脱字までをも一つ一つ見ている余裕もないかもしれない。ならばせめて、身構えた上で指摘や批判に臨んだ方がいい。


 と言っても、経験がないと「どこが突っ込まれそうか」という点ですら見当が付かないかもしれない。

 最低限、書いた文章について、自分で内容や意図が説明が出来ればいいのだろう。「理由もなく(ノリが長じて)」書くなんて状態になっていなければ、切り返すことは出来るだろうから。

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