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はじまりのあやまり


 今回もダイスを三つ振る。合計の目は13なのでノルマは650文字になる。

 途中から読む人からすると、何のことだか分からないだろうので今更ながら説明すると、これは個人的な制約である。この作品は各話ごとに三つのダイスを振り、合計の目に50を掛けた文字数を最低限書くようにしているのだ。

 前置きはここまでにして――



 はじめの一歩が非常に重要だという話。

 以前、買ったはいいが、積んでしまった本について話をした。

 これについて自分なりに調べてみた結果として、はじめの数ページが難解であったり、置いてけぼりであったり、そそられる内容でなかった場合に、投げ出す可能性が明らかに高いことが分かった。

 最序盤――プロローグで書き出される文章の内容によって、それ以降の中身の是非を問わず、読むか読まないかが変わってくるのだ。

 中盤以降に多少だれる分には、序盤が十分に期待させるものであれば、読み進めることが出来る。その逆は滅多に起こらない。序盤に光るものがないのに、どうして読み進めようと思うだろうか。

「綺麗に終わること」が難しいだなんて話も以前にしたけれど、「綺麗に始まること」は同じくらいに難しく、重要な要素なのだろう。

 綺麗に終わらなければ読者の失望を買うが、始まらなければ読者はそもそも買ってすらくれないのだから。

 ここまで考えて「テンプレ(というより、テンプレの基となった作品)って凄いもんだな」と改めて実感する。大多数の人に共有され、評価される。テンプレをなぞって書く限りは、最低限、「こういうのが読みたいんだ」という人は手に取ってくれる可能性が出てくる。


 タイトル、はじまり、テンプレ――

「中身が先か、外見が先か」。創作において、果たして優先すべきはどちらなのだろう。誰もが、なるべく中身のある面白い作品を読みたいに決まっている。

 しかし、読まれることのない作品は、ないのと同義である。最低限の外見の繕いは必要だ。

「ダイスの目で作品の文字数を定義する」という第一話はじまりは、ちょっといまいちだったかもしれない。

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