寝ている間に執筆


 今回は妄言らしい話をしたい。


 寝ている間に執筆出来ればいいなあと思う。俗にいう「夢日記」よりももっとリアルタイムに、現時点で見ている夢の内容をそのままメモ帳に書けるくらいがベストだ(夢遊病でもなければ出来ないが)。

 それに近いことをするのなら、酒の力を借りるか、それとも疲労の力を借りるか。ともかく意識をぼんやりとさせなければならない。課題としては、ぼんやりとした上で如何にタイピングし続けるだけの集中力を持つかである。

 超大作を書いたのにも関わらず、ローマ字のまま入力されていたとか、作業を終える前に画面を閉じてしまう可能性もある。コントロールできないのだ。

 文として読めるものかどうかも怪しい。脈絡も意味もなく、延々と続く乾ききった砂漠のような文章になる可能性が高いだろう。夢は自身の記憶から出来ているらしいから、最近のものなら、仕事に追われる自分、暑さにうだる自分、休憩の合間に見たウェブサイト、コンビニに立ち寄った際に見た青い空、眠気をこらえて入力した妄言――それらが自分も知らない特製のアルゴリズムに従ってブレンドされる。入力が地味なものばかりだから、出力もまた地味なものになるだろう。

 これが命がけの冒険だったり、宇宙船から見た星々だったり、稀有な現象の実現の瞬間だったり、豪華絢爛な式典の思い出だったりであれば、夢の出力もまた、輝かしいものになるだろう。

 すなわち、睡眠中の私の作品レベルは、現実世界における充実さに比例する。


 なんてことだ。現実世界がいまいちだから夢に望みを託したのに、結果として分かったのは「現実を見ろ」ということだったのだ。

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