完全上位互換の存在


 今日は(正確には昨日か)テレワークという業務形態でなければ、間違いなくできなかったであろう時間まで仕事をし、何とか大事には至らなかった。

 感謝したいところだが、そんな時間まで働かされたきっかけというのもテレワークによる伝達不足であったので、まったく皮肉なめぐりあわせである……


 

 劣等感の話。

 劣等感と言うのは、当たり前であるが「他人と比べて自分が劣っている」と感じることである。

 わたしなんていなくても、世の中は回るし、わたしなんかより優れた人は大勢いるんだ、とため息をつく。

 創作は特に、人によっては想像もつかないような境地にまで達することがあるし、母数も多いから「マイペースにやってこー」と割り切れる人でなければ、大概は劣等感にぶち当たる。


 一時期はそんなことで書いては保留、書いては保留としていたのだが、この作品は妄言なので、作品未満の話も出来る。


 劣等感への解決策。

「私の味が気に入らない奴は帰れ!」と突っぱねてもいいし、人の姿を必死にまねてみてもいい。劣等感をバネにして努力できれば最高だ。


 だが、こう考えてみてもいいかもしれない。

 いっそ、探してみたらどうだろう――自分の完全上位互換となる人を。

 アイデア、語彙力、描写力、作業速度、人気、人柄、その他もろもろ、すべてにおいて負けている。

 この人がいれば、あなたはまったく、まーーーったく要らないっ!

 あなただけの完全上位互換を探しちゃお!


 と意気込んで探してみると、意外や意外、見つかりにくい。

 上位互換は星の数ほどいるが、完全となると話は別だ。

 そもそもネタが丸々被るということ自体、かなり少ないのだから、その中で更に要素も満たすことは難しいのは明白だ。

 安定している作品には勢いで勝てばいいし、緻密さには理不尽さで勝てばいい。

 100個ジャンルがあったとして、あなたはそのうちの1個だけでも勝てれば、勝ちなのだ。

 

 そう。この完全上位互換を探すという、一見すると劣等感の極致にありそうな行為は、実は自尊心を保護するための方法であるということなのだ。


 もし見つかったら弟子入りしよう。

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