ダモクレスの剣


 ダモクレスの剣。

 臣下・ダモクレスが王の栄光を羨ましがっていたところ、王は自分の玉座に彼を座らせた。当初こそ幸福感に酔いしれていたダモクレスだったが、見上げた瞬間にそれは恐怖へと変わった。抜き身の剣が、一本の毛だけで吊られた状態で自分に向いていたのである……

 

 この逸話から「支配者・有力者の身の回りには常に危険が差し迫っている」という意味合いとして語られるのだが、何を「危険」と判断するかは人それぞれである。

 危険のハードルが低い人にとっては、身の回りにあるものが剣に見える。実際は小さいのだから仮に刺さっても爪楊枝に掠った程度の痛み、危険でしかないのだが、剣に囲まれた人は臆病になり、動くことすら億劫になるだろう。

 危険のハードルが高い人にとっては、剣はほとんど存在しないだろう。実際は何本か刺さっているのだが、その人にとっては「何故か・・・ケガをする」といった感じだろう。はた目からすると傷だらけ、いつ倒れてもおかしくないのに、平然としているような感覚だ。

 どちらにせよ、まともな状態ではない。

 

 現代のダモクレスの剣は何十種類もある上に、何がトリガーになって飛んでくるのかも分からない。何よりも現代のダモクレスの剣達は大半が目に見えないのだ。

 刺さってはいるし、傷ついてもいるが、剣の存在を誰にも(もしかしたら自分にすら)証明することが出来ない。

 救い(?)としては「盾」の存在があるということだろうか。

 しかし、剣よりかは存在が分かりにくい上、盾を買い占めて高値で売ろうとする人物もいるので決して油断はできない。



 書いていて、これはエッセイなのか、創作論なのか、何らかの小説の一部分だけを引用しただけなのか、よく分からなくなってしまった。

 えっと、ただ一つ言えることとしては……


 疲れているときは、危機管理能力が低下するということだ。

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