第41話 お披露目
陸軍の将官達の前で行った武器のお披露目はうまくいった。
どこか懐疑的な目で見ていた将官達も、一瞬でその考えを翻した。
――無理もない。
カルマが実演して見せた、武器の威力にはリンジーも度肝を抜かれた。火龍退治に使った機関銃にも驚かされたが、それどころではなかったのだ。
カンジス中佐にあらかじめ頼んでいた標的。
土嚢や樽を積み上げて作った、急拵えの擬似ゴーレムでは、本来の性能を発揮することはできないが、それでも十分伝わったようだ。
あのへんてこな形をした『パンツァーファウスト』を見た将官達は、
「なんだ? あれは?」
「まさか、あれでゴーレムを殴りつけるのか?」
「ふざけているのか?」
「あれのどこが、新兵器なんだ?」
――と、ざわついていたが、カルマが発射するや否や、全員が凍り付いた。
ポン!
と、軽い発射音とともに、丸みを帯びた弾頭が棒状の発射チューブから撃ち出され、放物線を描きながら飛翔した。
命中!
大きな爆発音がすると、樽や土嚢が吹き飛び、擬似ゴーレムは粉々に爆散した。
パンツァーシュレックの方はさらにすごい。
カルマが長い筒状のランチャーを肩に担ぎ発射すると、凄まじい発射炎を残し、弾が飛んでいくのが見えた。
直後、パンツァーファウストの時の、倍以上は離れている標的が、木っ端微塵に吹き飛ぶのが見えた。
「……すばらしい!」
カンジス中佐が興奮気味にカルマに駆け寄った。
「想像以上だ! これほどの威力とは……。カルマさん、司令官も絶賛だよ!」
「……いえ、あの標的では本来の威力は分からないと思います。できれば、実際に岩の固まりを試し撃ちしたかったんですが……」
「いやいや、十分だ。間違いなくゴーレムにも効果を発揮するでしょう!」
「……だと良いんですが……」
「それより、さっそく具体的な商談をしましょう。司令部の許可は得ましたので、私が調達を担当します」
そう言って、カンジスは足早に司令本部の建物に向かった。仕方なく、カルマとリンジーも追いかけようと準備していると、
「クレイハート卿! もしや……クレイハート卿ではありませんか?」
と、カルマに声をかける男がいた。
「……やはりそうだ。クレイハート卿ではありませんか!」
――クレイハート卿……。
その男は、深い緑色の詰め襟制服に身を固めた、五十代前後の将官だった。
肩の階級章によると、どうやら准将のようだ。
「……覚えていませんか? 王室の式典で一度お会いしたことがあります」
――王室の式典?
この将官はカルマを知っている。
王室って……どういうこと?
リンジーは、すかさずカルマの顔を見た。
「……」
カルマは押し黙ったまま、カウボーイハットを深く被りなおした。明らかに動揺している。
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