第7話 これは軽機関銃です


「いいでしょう。お勧めの商品をお見せしましょう!」




 そう言うと、武器商人は一冊の分厚い帳面を鞄から取り出した。

 帳面と言っても、革の装丁が施された立派な辞書のように重厚な帳面だ。表紙の留め金には鍵が掛かっており、容易には開かないようになっている。




「……そうですね。飛んでくる火龍を撃ち落とすとなると……ある程度の射程距離、発射速度が必要になりますね……、と、なると、重機関銃……は、素人には扱いづらいか……」




 武器商人は分厚い帳面のページを繰りながら、何やらぶつぶつと独り言をつぶやいている。



 すっかり日は落ちて、薄暗いランプの明かりがギルドの受付フロアを照らしていた。その下で帳面をめくる謎の武器商人。その場にいた誰もが固唾をのんで、彼の一挙手一投足を見つめていた。




「うん……やはりこれがいい。扱いやすくて汎用性が高い。性能のバランスは機関銃の中ではダントツだ! 村長さん。これならきっと気に入ってもらえるでしょう」




 そう言われても、何のことやら……。村長が呆気にとられてきょとんとしていた。



 ――しかし、次の瞬間、皆の視線がある部分に釘付けとなった。



 武器商人の右手には黒光りする鉄の塊が握られていたのだ。



 銃身の長い猟銃に近い形をしているが、重量はこちらのほうがありそうだ。

 コートの裾からするりと、出てきたようにも見えたが、その瞬間をはっきり見た者はいない。革の鞄から取り出したのか――、いやいや、違う。そもそも鞄に収まるような長さではない。




「これは軽機関銃です」




 武器商人が言った。




「えっ……。け、けい、きかんじゅう?」




 村長のくぼんだ目が、まん丸に見開いていた。突然、目の前に突き出された見たこともない銃に驚きを隠せない。




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