外伝Ⅰ
外伝Ⅰ 青春時代が現実なんて①
☆★☆★ 3巻 4月7日発売 ☆★☆★
おかげさまで『「ククク……。奴は四天王の中でも最弱」と解雇された俺、なぜか勇者と聖女の師匠になる』のコミックス3巻目が発売決定です。
めっちゃ強そうなポーズで頑張ってるロリ巨乳聖女が目印ですので、
是非お買い上げ下さい。
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これはまだ死属性四天王カプソディアが、聖女と勇者のお師匠様になる遠い遠い昔のお話である。
「いや~。しっかし、俺たちもついに軍人か……。ふわぁ」
呟いたのは、
魔族領でも雪は溶け、春も近いというのに、黒いローブを頭からすっぽり被り、幸薄そうな目の下には、その目の色よりも真っ黒な隈が浮かんでいる。
何やら眠いようで、
「ちょっと! カプソディア!! 顔ぐらい洗ってきなさいよ。それにあたしたち軍人になるんじゃないわ。軍人になるための学校の試験を受けに行くのよ」
カプソディアのマヌケ面を見て、ムッと眉間に皺を寄せたのは、隣を歩いていたルヴィアナだ。
四天王となった頃には成人し、美女になる風の大精霊も、この頃はまだあどけなさが残る少女である。とはいえ、ふわりとした明るい黄色の髪はすでに健在。薄い緑の瞳も、終始どんよりとした雲に覆われた魔族領の中にあって、木漏れ日の差し込んだ小川のように揺らいでいる。
そして、胸の大きさと、露出の多さもこの時から片鱗を見せていた。
「仕方ねぇだろ。誰かさんの勉強に付き合ってたら、結局徹夜になってたんだからよ。ふわっ……」
欠伸をしながら、カプソディアは後ろを振り返る。
手に書物を持ち、耳には鉛筆、禿げ上がった頭には「必
後に
普段、教本どころか鉛筆すら握らない脳筋魔族は、教本に向かってぶつぶつと呟きながら、勉強している。
今まで見たことのないヴォガニスの必死の形相に、逆にルヴィアナは一抹の不安を覚えたらしく、カプソディアに尋ねた。
「ねぇねぇ。カプソディア……。本当にヴォガニス、大丈夫なの」
「大丈夫って言われれば、大丈夫じゃないだろうな」
後に四天王となるこの幼馴染みの中で、ぶっちぎりで頭が悪いのはヴォガニスである。
そして、そのヴォガニスが魔族の軍事学校試験に筆記試験なるものがあることを知ったのは、つい1週間前のことだった。
それまで筋トレと魔力の訓練しかしてこなかったヴォガニスは、愕然とする。
そこでヴォガニスが泣きついた相手が、カプソディアだった。
能力の高い幼馴染みが、自分を頼ってくれることに、カプソディアはいたく感動し、無謀ともいえる受験勉強を始めたのである。
ちなみにヴォガニスが
かくしてヴォガニスとカプソディアの勉強は6晩7日行われ、試験当日と相成ったのである。
「今まで勉強してこなかったヤツが、1週間で頭よくなったら、俺は軍人をやめて今から塾講師にでもなるぜ」
「そんなこと言わないでよ。私たち幼馴染みなんだから。みんなで合格しないと意味ないわ」
「甘いな、ルヴィアナ」
ピシャリと言い放ったのは四天王最期ならぬ最後の男であった。
赤い炎のような髪は健在。
四天王となった際には、如何にも憎たらしい顔も、今はまだちょっと少年然とした面影が残っている。
しかし、腕を組みながら歩く不遜な態度はすでにこの時から出ていたらしく、今も少し顎を上げながら、幼馴染みたちを見下していた。
赤竜族のブレイゼルである。
「魔族の世界は実力主義だ。ヴォガニスが学力で劣るというなら、それはそいつの実力ということだ」
「ブレイゼル、そういう言い方はないでしょ」
「そうだぞ、ブレイゼル。俺たち、昔からつるんでて、お互いのことはよく知ってる。軍隊でも同じ隊になって協力すれば、向かうところ敵なしだ」
「ふん。軍に入っても、同じメンツと顔を突き合わせるなんて、我は御免だ。特にカプソディア、お前とはな」
ブレイゼルの金色の瞳が鋭く光り、カプソディアを射貫いた。
「相変わらず可愛くない野郎だなあ、お前は。ルヴィアナはどうだ?」
「え? え? 私……? そそそ、そうね。まあ、環境も変わるし。違う、仲間でも。………………でも、カプソディアがそこまで言――――」
「大丈夫だぞ、ヴォガニス。俺はお前を見捨てたりしないからな」
「おお! ありがとう、カプソディア。心の友よ!!」
ヴォガニスは涙を流しながら、教本をぐっしょり濡らす。
ひしと抱き合った。そこでやっと仲間になりたそうに見つめるルヴィアナを見つける。
「ん? なんだ? ルヴィアナ、その目は――――」
「な、なんでもないわよ!!」
ぷいっと後ろに目を背けるのだった。
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なんと金土日の3日連続更新予定です!
よろしくお願いします。
コミックス3巻ご予約推進更新なので、是非そっちもよろしくお願いします。
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