第4話 不可抗力と内在する鳥籠の側で。
王の城への道のりは、比較的緩やかな坂道だった。それに、テレポートした街からも結構近い。
「この距離なら王が街に出かけることもあるんじゃないかな…。」
「まあ、王がなんであれ少女を救えばゲームクリアだしね。急ごう。」
あっという間に城に着いてしまった。
城は周りが小さな小川で囲まれていて、入り口に通ずる橋がかかっている。それほど大掛かりな護衛もいないみたいだし、じゃあ入るか…。
その時俺たちの後ろから声がした。
「おいお前たち、王の城に何の用だ!」
「王に何かご用があるなら事前に通告を出さなければいけない義務だが?」
しまった…護衛だ…。まさか後ろから追い詰めてきていたとは…。
「アタシらが何しようが、別にアンタ達に関係ないじゃないの!」
レイラさんがずんずん護衛に近づいていく。
「な、なんだこの生意気な女は!」
「無礼者は縛り上げて王に差し出すぞ!」
おいおいこの状況は流石にまずいんじゃないか?
「ちょ、レイラさん流石にその態度じゃ明らかな不審者だよw」
「じゃーヤマモトがこの状況をどうにかできるわけ??」
「そう言われてもなぁ…」
俺は頭をかいた。サリアは困り顔で俺たちと護衛共との顔を見ている。
するとまたしても前方から男性の声が聞こえた。
「おいおいおい、これはお客様ではないか。あぁいかんいかんお客様にそんな言い方をされては…。」
男はそう言って俺たちに近づいた。
…って…。
「「「「王様!?」」」」
俺たちの目の前にはどう見ても王様らしき人物がいた。綺麗な金の王冠、赤いマント、磨かれた革靴…。どこをとっても王様だ。
俺は慌てて挨拶した。
「はっはじめまして!俺、山本賢治って言います!そんで、この子がサリア!」
「よ、よろしくお願いします!」
サリアは緊張で気をつけみたいなポーズをしている。ほんと純粋な子だよな。
「アタシはレイラ、弓と短剣使いの女騎士です。」
「僕はクルト。ランス使いの騎士です。片手剣も少々。」
俺たちの挨拶に、王は満足げな表情を浮かべた。
「ほうほう、これは立派なお客様ですなぁ。よくぞいらした…。さぁさ、立ち話もあれだ、吾輩の城へご案内しよう…。」
ずいぶん低姿勢な王様だな。こんなに立派な城を持って豪華な服を着てるのに。ま、態度がでかいよりはいいかもな。
俺たちは王についていき、城の内部まで案内された。
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