第2話 再開と再会
…ドサっ!!
「…っ…痛っ……。」
俺はどこか硬い地面にテレポートしたようだ。
「…ったく…父さんもっと優しくフルダイブさせてくれよ…。」
呆れてぶつぶつ言いながら顔を上げると、俺は驚いた。
「…何だここは…。」
そこには地面はレンガ畳、中央には噴水があって数多くの商店が軒を連ねる都市が広がっていた。雰囲気は…ひと昔前の西洋チック。
「父さんもオシャレなゲーム作るじゃねえかw」
俺は小声で呟きながら立ち上がった。
『シュパン!!』
ん…?
後方から破裂音に似た電子音が鳴った。
「…ここが新しいセカイ?」
「…かなぁ…たぶん…」
「とりあえず…近くの人にいろいろ聞いてみよっか。」
……ん??
「「「ん???」」」
「サリア!!!!!」
俺は立ち上がり、彼女のもとへ駆け寄った。
あどけなく、それでいて優しい顔、綺麗な長髪、柔らかい肌、どう見てもサリアだ!
「会いたかったよサリア!」
「…賢治、くん…?」
「そうだよ賢治だよ!魔王城ではぐれて以来だな!!」
サリアの瞳に光が灯った。
「うん!賢治くん会えて嬉しい!」
サリアの方から抱きついてきた。
照れる…けど、とりあえず、再会できて良かった…。
「なーに胸アツなラブコメやってんのよ!w」
その声は…!
「レイラさん!!」
「僕もいるよ。忘れないでね♪」
おぉ!
「クルトさん!」
やったぁ!これで全員集合だ!
「でも、3人ともリバイバルゲームのNPCじゃないの…?」
俺が聞くと、決まりの悪い表情でサリアが答えた。
「うん…私たちも、自分がNPC、“ゲームという世界でのキャラクター”って知った時は驚いたよ。でも…このセカイの創始者が言ったの。『君たちは”signifié(シニフィエ)、唯一性を持つ表象的な存在だよ。』って。だから気にしないの!私たちも、このセカイで生きてる、ある種の人間よ。」
父さん…ゲームのNPCにまでお得意の記号論叩き込んでんのか…w
「だからこれからはどんなゲーム世界でだって一緒に冒険できるわ!」
レイラさんも自慢げに話す。
「僕も忘れないでね!」
クルトさんもそう言い、俺の肩に優しく手を置く。
そうか…父さん、リバイバルゲーム世界でのノンプレイヤーキャラクターを拡張して異なるゲーム間でも自由に移動できるように設定したんだ…。
これには驚いた。
俺は再開の喜びの余韻に浸りつつ、総意を取った。
「よし、じゃあみんなでとりあえずこのゲームのクリアを目指そう。このゲーム世界をクリアしないと、次のゲーム世界に行けないからなぁ…。頑張ろうね!」
リバイバルゲームの時と同じく、皆も頼もしく賛同してくれた。
その時…。
【“助けて…助け…て…”】
…!?
知らない少女の微かな声が俺の胸に響いた。
何だ…誰だ…。
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