6
「それで、私に内緒で裏山に上ったと」
いつもより少し低いサーシャロッドの声に、エレノアはビクリと肩をすくませる。
結局裏山からもどったエレノアは、サーシャロッドにこっそり宮殿を抜け出して裏庭に行ったことがバレて、こってり絞られている最中だった。
ソファの上に押さえつけられて、さっきから恥ずかしいことをたくさんされている。
胸元ははだけ、かろうじてふくらみがわかる程度のつつましやかな双丘がのぞいていた。その先端をぎゅうっとつねられて、エレノアは「ひーん」と小さな泣き声をあげる。
たくさんごめんなさいと言ったが、サーシャロッドはなかなか許してくれない。
体のいたるところを舐められたり、軽くかじられたりして、エレノアはソファの上で子ウサギのようにぷるぷると震えることしかできない。
カモミールの姫がまたいなくなってしまったから探さないといけないのに。しかもいなくなる前は泣いていた。ヤマユリの王子様も魂が抜けたみたいに茫然としてしまったし、エレノアががんばらないといけないと思うのに、サーシャロッドは許してくれない。
「放っておけと言っただろう」
そう言って、かぷりと胸にかじりつかれる。
「ふえええっ」
「他人の痴話喧嘩に首を突っ込んでどうする」
「ち、痴話喧嘩?」
「そうだ。関わるだけ馬鹿馬鹿しくなるだけだ」
「でも……」
カモミールの姫は、泣いていた。
心配、とつぶやくと、またきゅっと胸の先端がつねられてしまう。
「心配なら、自分の心配をするんだな。しばらく許してやるつもりはないぞ」
意地悪な笑顔でサーシャロッドにそう宣言されて、エレノアはひくっと喉をひきつらせた。
そしてそのあとエレノアは、宣言通り、サーシャロッドにたっぷりとお仕置きされる羽目になったのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます