6

「それで、私に内緒で裏山に上ったと」


 いつもより少し低いサーシャロッドの声に、エレノアはビクリと肩をすくませる。


 結局裏山からもどったエレノアは、サーシャロッドにこっそり宮殿を抜け出して裏庭に行ったことがバレて、こってり絞られている最中だった。


 ソファの上に押さえつけられて、さっきから恥ずかしいことをたくさんされている。


 胸元ははだけ、かろうじてふくらみがわかる程度のつつましやかな双丘がのぞいていた。その先端をぎゅうっとつねられて、エレノアは「ひーん」と小さな泣き声をあげる。


 たくさんごめんなさいと言ったが、サーシャロッドはなかなか許してくれない。


 体のいたるところを舐められたり、軽くかじられたりして、エレノアはソファの上で子ウサギのようにぷるぷると震えることしかできない。


 カモミールの姫がまたいなくなってしまったから探さないといけないのに。しかもいなくなる前は泣いていた。ヤマユリの王子様も魂が抜けたみたいに茫然としてしまったし、エレノアががんばらないといけないと思うのに、サーシャロッドは許してくれない。


「放っておけと言っただろう」


 そう言って、かぷりと胸にかじりつかれる。


「ふえええっ」


「他人の痴話喧嘩に首を突っ込んでどうする」


「ち、痴話喧嘩?」


「そうだ。関わるだけ馬鹿馬鹿しくなるだけだ」


「でも……」


 カモミールの姫は、泣いていた。


 心配、とつぶやくと、またきゅっと胸の先端がつねられてしまう。


「心配なら、自分の心配をするんだな。しばらく許してやるつもりはないぞ」


 意地悪な笑顔でサーシャロッドにそう宣言されて、エレノアはひくっと喉をひきつらせた。


 そしてそのあとエレノアは、宣言通り、サーシャロッドにたっぷりとお仕置きされる羽目になったのだった。

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