パスカルの興味


 パスカルと聞けば、まずこの言葉が浮かぶのではないだろうか。


「人間とは、考えるあしである」


 この葦はイネ科の植物のこと。

 ちなみにこの言葉はどういう意味かというと、「葦はいずれ自分が枯れてしまうことを知らないでいるが、人間はそれを知っている点で大きな違いがある」という意味だ。

 そんな賢人のパスカルだが、幼いころ、官吏かんり(今でいう国家公務員)であった父親に、


「数学なんぞ、あんな意味のないものを勉強する奴の気が知れぬ。お前はそんなバカになるな」


 と言われたが、その言葉を受け、逆にパスカルは数学というものに興味をもち、十六歳の時に偉業を成した。

 俗に言う、パスカルの定理である。

 さらにパスカルはそれだけでなく、ある問題に熱心に取り組んだ。


 それは何かというと、サイクロイド(輪転曲線)問題だ。これは説明しだすと小説という趣旨から外れてしまう可能性が高いので割愛。

 そしてこの研究の副産物と言ってもいいのかわからないが、パスカルはとあるものを発明した。


 そのパスカルの発明というものは、カジノでおなじみのルーレット。

 パスカルはサイクロイドのことをルーレットと呼んでおり、サイクロイド研究の合間に遊びでルーレットのルールを確立したと言われている。

 父親のちょっとした一言が、天才の興味をひき、そしてそれが人類に大きな福音をもたらす……そんなことが起きることもあるようだ。

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