アダムスミスの天才ぶりの片鱗


 アダムスミスは、子供の頃ジプシーにさらわれてしまうという、とんでもない経験をしている。

 まあ、なんとかすぐに救出されたのだが、その時に経験したことがきっかけかわからないが、大学を出た後、学者の道へと進み、哲学の造詣を深めていくことになる。

 哲学を研究する際に出版した『国富論』が評価され、経済学の祖となる。

 しかし実務は苦手だったようで、こんな逸話が残っている。


 彼がある職についた際、公文書へのサインをやらなければならなかったのだが、そのやり方がわからなかった。

 それに気づいた秘書が、前任者の書類を彼に見せた。


「こちらを参考にして、サインをしてください」

「ありがとう。そうさせていただくよ」


 そして彼は、前任者のサインを、公文書にサインした。

 なんというか、まあ、天才だからこそなんだろう。こんな天然な逸話が、彼の天才ぶりを証明するような逸話として残っていることが。

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