例外なるユダヤ人・ワールブルグ


 ナチスドイツによるユダヤ人の迫害については、今さらここに記すまでもないだろう。

 当時、苛烈だったユダヤ人迫害のさなか、ドイツ本国に一人のユダヤ人がいた。


 彼の名は、ワールブルグ。

 科学者である彼は、ナチス政権下でも特例で研究を続けることができた。


 なぜ、彼はナチス政権下でも研究ができたかというと、それは彼がしていた研究に理由がある。

 彼のしていた研究は、ガンの研究だった。

 そしてヒトラーは、とあるガンを執拗に恐れていた。


 ヒトラーの恐れていたガンとは、喉頭ガン。声がかすれてしまっては、自分のカリスマ性が失われてしまうと恐れていたのだ。

 そのため、ワールブルグは特例として扱われ、迫害の対象外になっていたのだ。ただ、本人としては、なんともいえない心境だっただろう。その心痛はまさに、筆舌にし難いものだったにちがいない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る