戦国時代の先見の明の持ち主たち
毛利元就は、推薦状を持ってきて熱弁をふるう男の顔を見て、ある予感がはしった。
(……こいつ、なにやら反抗的な人相をしているな。優秀かもしれんが、こんな奴を雇ってしまっては、いつ寝首をかかれるかわからないぞ)
そして毛利元就は、男にいくらかの金銭を持たせて帰らせた。
毛利元就に不信感を与えた男の名は、明智光秀。奇しくも、この時の毛利元就の予感は当たっていたのだと、本能寺の変にて証明された。
ふらふらと彼が散策をしている時、一人の青年が草取りをしている姿が目に留まった。
彼は青年へのそばへと歩み寄り、こう言った。
「ふむ。あなたは、きっと天下をとることでしょう」
「そんなバカなことがありますか。あっしはしがない農民です。まあ、そうなればいいなと夢見ることはありますがね」
「ほら、ごらんなさい。夢見ることがあるということは、そういう決意をしているのでしょう?」
「まあ、たしかにこのまま農民のままではたかが知れているし、せっかくだから命がけで何かをしようと思ってはいますがね」
「やはり、あなたは天下を取ることになる。どうです、その時は私に一万石をくださいませんか?」
「面白いことを言う人だ。いいでしょう。あっしが天下を取った時には、一万石を差し上げますよ」
時は過ぎ、農民はやがて足軽となり、木下藤吉郎と名乗り、出世して羽柴秀吉と改名し、天下を取った時には豊臣秀吉と名乗っていた。
まあ、秀吉が約束を覚えていて、阿部飛彈神に本当に一万石を献上したかは不明だが、ともかく、阿部飛彈神は相当な先見の明をもっていたのだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます