隔離されたメリー・マロン


 ニューヨークに、メリー・マロンという女性がいた。

 この女性、とあることで有名であり、そのとあることのせいで数奇な運命をたどってしまった。


 一九〇〇年代前半、ニューヨークでは腸チフスが何度も流行していた。

 そして、そのうちの七回の流行の原因は、メリー・マロンが発生源だったからだということが発覚したのだ。

 係官が彼女を逮捕し、彼女に治療させようとしたが、彼女はそれを拒んだ。

 一九〇七年。正式に彼女は拘留され、三年後、食品や調理に関連しないことということを条件に、彼女は釈放された。


 だが、一九一五年。彼女の勤める病院で、腸チフスが大流行。

 原因を調べたところ、メリー・マロンが友人にゼリーを作ってあげたせいだということが判明し、彼女は逮捕された。

 そしてそれから二十三年間、彼女は死ぬまで隔離されたままだった。

 発病しない保菌者という、珍しい実例をもった彼女は、腸チフスメリーという不名誉な二つ名を持っている。

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