大銀行家・ピーボディの葬儀


 イギリスのピーポディは、非常に貧しい家に生まれた。


 だが、その貧しい体験を糧にして、世界的に有名な大銀行家へとのしあがることができたのである。

 幼少期とは打って変わった、満ち足りた日々を送っていたピーポディ。

 そして、彼が晩年を迎えた時、彼はその私財を投じて、ロンドンにある建造物を作った。


 それは、幼少期のピーポディのように、貧しい人たちを住まわせるためのアパート。しかし、その家賃はタダとはいかなかった。

 ピーポディは、保護と支援の違いを、自らの体験からよく知っていたのだろう。だからこそ、家賃はタダではないが、住む人々が無理のない額の家賃しかとらなかった。


 ピーポディのアパートに入居した人々は、ピーポディに感謝し、そして自助の努力をし、やがてピーポディのアパートから出ていった。

 そのようにして、ピーポディのアパートに入居した人々は、総勢にして二万人を超えたそうだ。

 そのため、ピーボディが亡くなった際には、その葬儀は国王や大政治家なみで、ウェストミンスター寺院に埋葬された。


 人のために尽くしたからこその、待遇である。やはり、残すは財産なんかより人徳のほうが大事なようだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る