王族たちのタブー


 世界各地には様々な王族があり、王族には王族の特殊なタブーや規則があるものだ。

 その中でも、王族の血を地面にたらしてはならないというタブーが、元(モンゴル)とタイにある。

 このタブーというものはかなり重要なもので、このタブーをおかしてしまえば、その者は王族として認められないばかりか、大衆の支持すらも得ることができなくなってしまうのだ。


 そのため、時の王族同士の権力争いの最期には、普通では考えられない方法で処刑が行われることがままある。

 まず、元を例に挙げてみよう。


 元の世祖、フビライ・ハンは自らの支配を確実なものにするために、叔父の軍と戦闘を繰り広げていた。

 そして、なんとか叔父の軍を撃退。叔父を捕らえ、処刑しようとしたのだが、タブーの存在がフビライ・ハンを悩ませた。


 苦悩の日々を過ごしていたフビライ・ハンだが、ついにある妙案を思いついた。


 その妙案とは、叔父をジュウタンにくるんでしまい、そのままの状態でさんざん投げ飛ばして処刑してしまうという方法。

 これなら叔父の血が地面にしたたり落ちることはないぞと意気揚々なフビライ・ハンによって刑は執行され、フビライ・ハンは元を支配を確実なものとした。

 それでは、タイではどうだったか。


 タイがまだシャムという名で呼ばれていた頃、シャムの王が親類の者を処刑しなければならないことになってしまうが、そこでまた例のタブーがシャムの王を困らせた。


 さて、どうしたものか。シャムの王も苦悩の日々を送り、これまた妙案を思いついた。

 シャムの王は部下に、巨大な壺を作るように命じ、それができたらそこに親類の者を押し込み、壺の中で親類を棒で叩き殺してしまったのである。

 いつの時代もルールやタブーというものはあるものだが、やはり、いつの時代もそれらは守るためというより、破るために存在している……のかもしれない。

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