命知らずのスタントマン・リーチの意外な結末
ボビー・リーチというスタントマンがいた。
このリーチという男、とにかく突拍子もないことを考える男で、そのスタントも命がけなスタントが多かった。
そんなリーチが友人に、スタントの構想を話したいと相談しにやってきた。
「なあ、また新しいスタントを思いついたんだ」
友人は、どうせまたとんでもないことを言い出すのだろうと覚悟しつつ、リーチに聞き返した。
「君のことだから、きっとまた驚く内容なんだろうね。どんなスタントなんだい?」
するとリーチは、不敵な笑みを浮かべて言った。
「樽の中に入って、ナイアガラの滝から落ちるのさ」
この言葉を聞いて友人は、驚きを通り越して呆れてしまった。どうせ止めたってやるのだろう。それならせめて笑って送り出してやるしかない。
「うん、それはいいんじゃないか。きっと素晴らしいスタントになるよ」
「そうだろう? よし、それじゃあ早速準備をすすめていくことにするよ」
それからリーチはスタントの準備をテキパキとすすめていき、ついにスタントの当日を迎えた。
聴衆が歓声をあげるなか、リーチは樽に入ってナイアガラの滝から見事に落下した。
救助隊が急いで流れる樽を回収し、樽の蓋を開けると、虫の息にはなっていたがリーチの生存が確認され、そのまま病院へと直行した。
全治六カ月という瀕死の重傷を負いながらも生還したリーチを、民衆は大いに賞賛し、リーチは不死身のリーチと呼ばれ、リーチに対して方々から講演の依頼が舞い込むようになった。
そしてリーチも、その講演を精力的にこなしていっていたのだが、ある日、リーチに不運が訪れる。
ニュージーランドの講演の時、バナナの皮で滑って転んでしまい、そのことがキッカケで併発症によって死亡してしまったのである。
この男、運が良いのか悪いのか、よくわからないものである。神のきまぐれもここまでくると悪意のように感じられてしょうがない。
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