作家フォーサイスとフィクション


 フォーサイスの小説『戦争の犬たち』は、構想のみごとさ、迫真の描写で話題となり、評判を得た。傭兵の集団が、あるアフリカの小国を手中におさめようとする話だ。一九七四年の作。

 一九七八年、ロンドンのタイムズ紙、ニューヨーク・タイムズ紙は、すっぱぬきの記事をのせた。

 それによると、フォーサイス自身、一九七二年に十三人の仲間とともにアフリカ西海岸のギニア共和国の大統領を誘拐し、ギニアを支配しようと計画していたのだという。それに、彼は二十万ドルを費やしたとも。


 だが、現実は小説のようにうまくはいかなかった。一味の一人のスペイン人が、弾薬の買い付けに失敗し、計画は頓挫してしまったのだ。

 この記事のおかげで、さらにフォーサイスの本が売れた。ドゴール暗殺計画の『ジャッカルの日』も、ナチの残党の組織『オデッサ・ファイル』もあるいは……?! と思う人々が激増したからである。

 何度も言っていることだが、やはり、宣伝というのは非常に重要なものだということがよくわかる事案である。

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