ロッシーニの皮肉


 当時のオペラとしては珍しい喜劇的な『セビリアの理髪師』で有名な、イタリアの作曲家・ジョアキーノ・ロッシーニ。

 彼は非常に才能があるのだが、怠け者としても有名で、先に挙げたセビリアの理髪師も、なんと、三週間で仕上げてしまった。

 なぜこんなに早く曲を仕上げることができるのかというと、もちろんこれにはロッシーニならではの秘密がある。

 彼は、同じ旋律を使い回すのなんてことは朝飯前で、『セビリアの理髪師』序曲は、『パルミーラのアウレリアーノ』→『イングランドの女王エリザベッタ』の序曲を丸ごと再々利用しているのだ。


 そんな彼だからこそ、


「良い題材がないから、作曲が進まない」


 などという言い訳をする当時の作曲家たちに、強烈な皮肉を言い放っている。


「そうか。じゃあ俺にお前の家の洗濯物のリストを持って来い。それに曲をつけてやるぞ」

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