不屈の皇帝・ユスティニアヌス二世
西暦六九五年。東ローマ帝国にて、暴動が起こった。
暴動を指揮したレオンティウスは、時の皇帝ユスティニアヌス二世を追い詰め、彼の鼻を切り落とし、その座を奪った。
しかし、その三年後。
今度は将軍ティベリウス三世が反乱を起こした。
レオンティウスはその際に、自分がユスティニアヌス二世にしたように、ティベリウス三世から鼻を切り落とされてその座を奪われた。
将軍職から皇帝へと成りあがったティベリウス三世だが、その栄華が長く続くことはなかった。
なぜなら、最初に皇帝の座から転落させられたユスティニアヌス二世が、十年の亡命生活から帰還したからである。
ユスティニアヌス二世は、すぐに帝位を奪還し、元の皇帝の地位へとおさまった。
そしてユスティニアヌス二世は、自分を皇帝の座から引きずり下ろしたレオンティウスと、レオンティウスの代わりに皇帝の座についていたティベリウス三世を、公衆の面前で処刑してしまったのである。
長い艱難辛苦の時代を超え、元の皇帝の座へと返り咲いたユスティニアヌス二世――彼の不屈の精神もさることながら、筆者としてはこのエピソードに栄枯盛衰の儚さを感じずにはいられない。
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