タイタニック号の予言? ロバートソン


 世紀の船舶事故として、世界中に知られる、一九一二年・四月に起こったタイタニック号沈没事件。


 絶対に沈まない豪華客船という触れ込みのタイタニック号が沈没するとは、当時の人々はきっと夢にも思わなかったに違いない。

 だが、このタイタニック号沈没事件の十四年前に、とある小説が出版されていた。


 著者は、アメリカのファンタジー作家であるモーガン・ロバートソン。

 小説のタイトルは『Futility(むなしさ)』である。


 この小説は、とある豪華客船が四月の寒い夜に、氷山にぶつかって沈没してしまうという物語なのだが、その内容が、まるでタイタニック号沈没事件を予言しているかのような内容なのだ。

 小説の中の豪華客船の名前は、『タイタン号』

 このタイタン号は、世界最大の大西洋の豪華客船であり、そのキャッチコピーは『絶対に沈まない豪華客船』

 三つのスクリューで、時速二十四ノットで動く。これはタイタニック号と一致している。

 全長とトン数も一割と変わらない。

 乗客は超一流どころだが、その数と救命ボートの数が合わない。


 ここまで似通っていると、ただの偶然では済まされないような気がしないでもないが、やはりこれは偶然なのだ。

 というより、偶然ということにしておかないと、また妙な話にもなりかねない。

 なぜかって? なぜならそれは、モーガン・ロバートソンがどういう作家かを思い出してほしい。彼は、ファンタジー作家なのだ。だから、実は彼が魔法で将来見たことを小説にした――なんていう話になってしまっては、ややこしい。

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