ジェンナーの怒り
イギリスの医師である、エドワード・ジェンナーは、一七九八年に種痘法を確立し、天然痘を征服することに成功した偉大な医師である。
そのような人類全体において、多大なる貢献をしたジェンナーを、一八一三年に、ロンドンの栄光なる英国医師会の会員にどうかと、医師会が推した。
もちろん、英国医師会も二つ返事で承諾しようとしたのだが、そこに待ったをかけた英国医師会の幹部が一人いた。
その幹部の人は、良く言えば伝統を重んじ、悪く言えばしきたりにうるさい人。
幹部の人は、こう言ったそうだ。
「いくら高名なる方でも、規定通りのテストが必要だ」
英国医師会は仕方なしに、ジェンナーに伝えた。
「申し訳ありませんが、規定がありますので、一応テストを受けてはもらえませんでしょうか?」
ジェンナーは今さらテストかと気を悪くしかけたが、まあそれも決まりなのだろうから仕方ないと思い、聞いた。
「わかりました。どのようなテストをうければよろしいのでしょうか?」
「実は、これに基づいたテストなのですが……」
そう言って、医師会の人がジェンナーに差し出したのは、古い医学書。もう、そんな古い医学書の常識など通じなくなっている時代なのに、である。
さすがのジェンナーもこれには激昂した。
「馬鹿にするな!! そのような会に入会するなどお断りだ!!」
そして、ジェンナーは英国医師会への入会を断ってしまったのだ。
古いしきたりも大事だが、新しい変化を受け入れることも大事ではないだろうかと考えさせられる一幕である。
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