シェリー夫人の息抜き


 一八四六年、休暇のためにスイスのペンションを訪れた四人の著名人がいた。

 シェリー夫妻。バイロン氏。ポリドリ博士。

 四人は当初、休暇を穏やかに過ごしていたのだが、変化のない日常に少々飽きがきはじめていた。

 すると、バイロン氏が思いついて、こういった提言をした。


「どうだろう、頭の運動と暇つぶしを兼ねて、四人がそれぞれ怪奇小説の一編でも書いてみないか?」


 四人は怪奇小説の執筆に打ちこんだが、結局書き上げることが出来たのは、当時十八歳であったシェリー夫人だけだった。

 そして二年後の一八四八年。シェリー夫人が書いた怪奇小説が出版されることとなった。

 その題名は『フランケンシュタイン』。現代になっても語り継がれる、不朽の名作である。


 ちなみに一つ注釈しておくと、フランケンシュタインという名前は怪物の名前ではなく、あくまでも怪物を作った博士の名前である。

 いつの間にか怪物=フランケンシュタインと誤解が強まっているが、それは誤りだ。ついでに言うと、怪物に名前はない。怪物は怪物という名のまま原作では描かれている。

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