第2話:神は言っている、来世で幸せになれと

目を覚ますとそこは知らない場所だった。

全体が白く、壁が有るのかすら分からない程真っ白な空間だった。

そして目の前には白いローブを着た優しそうなお爺さんファイルを片手に涙を流している。


「うう‥細野君‥君は苦労してきたね‥」


「え、ええ‥あの此処は何処でしょうか?」


「ここは天国じゃよ、細野君‥君は工藤冬美によって刺殺されたのじゃ‥」


「あー‥」


驚きは無いと言えば嘘だけど、やっぱり死んだのかー、まだ竹内さんとデートもしてないし、手も繋いでない、キスもしてない‥それから先も‥

あぁ‥DTで人生終わったのかぁ‥

そんな高校生男子特有の後悔を感じていた、すると、目の前に立つ老人はこういった。


「わし、神様なんじゃよ、で、細野君‥本来君は幸せになる人間だったのじゃが‥不幸にも邪悪なる者に殺されてしまい、人生の楽しみのスタートラインで殺されたんじゃ‥もし生きていたら、あの後大学へ行き、君は無事医者となり様々な人を救う優秀な人になり、運命の相手だった竹内夏花と結婚して2人の子供に恵まれ‥」


あー‥聞きたくない、それ以上は止めて欲しい。

どんなに言われても戻れないんでしょ?もう分っている。


「細野君‥わしは君を凄く不憫に思うのじゃ、心優しき青年があの邪悪な者によって命を落とす‥こんな事は許される事ではないのじゃ‥そこで、細野君、ファンタジーが好きな君なら分かるじゃろう、異世界転生はどうじゃ?」


「ライトノベルのアレですか?」


神様はうむと言い頷いた。

彼曰く、その世界はヨーロッパ中世をイメージした世界で、剣と魔法とモンスターが居る世界だ。

特殊な点は魔法とモンスターが居る位だ。

ラノベのテンプレって奴だ。


「それでじゃ?細野君、5つの条件を言ってくれんか?」


こうして僕は転生する事に決めて、5つの条件を得た。

僕が出した条件はこうだ。


①異世界で人を癒す魔法が使える事

②異世界で誰とでも話せる事

③異世界では女難の相を無くして欲しい

④異世界でも記憶の持ち越し

⑤異世界でもし可能なら竹内夏花さんと一緒になりたい


これらを条件とした。

①異世界で人を癒す魔法が使える事

これは人を助けたいからこういう力が欲しかった、但し人を生き返らせる物は却下した。

確かに‥人を生き返らせる事が出来る事は凄い事だけど、そう言う事をするのは自然の摂理に反すると僕は思っている。


②異世界で誰とでも話せる事

人間だろうと、モンスターであろうとも、僕は助けを必要としている人と会話がしたい。

会話して、何が悪くてどう困っているのかとか色々と話をしてからその人やモンスターを助けたいと思っているから。


③異世界では女難の相を無くして欲しい

これは絶対に欲しい、来世でもまたあいつの様な頭がおかしい奴に殺されるのは御免だからだ。


④異世界でも記憶の持ち越し

これは異世界に行った時でも、現世で得た知識を無駄にしたくないと言う理由だ。

当然デメリットも有るけど‥ゼロから学ぶよりかは楽だと思ったからだ。


⑤異世界でもし可能なら竹内夏花さんと一緒になりたい

これは本当に可能であればレベルだ。

僕は彼女の事を特別深くは知らない、でも‥とても気になる相手だったのは事実だ。

だから‥僕は彼女と一緒に過ごしたい、だからその願いを5つ目にした。


神様はうんうんと頷き、快く僕に能力を付与してくれた。


「君は本当に優し子じゃなぁ‥異世界に行っても人を助けようとし、分け隔てなく命を救おうとするとは‥今までの転生者たちとは違うのぉ」


「いえいえ、ただの我儘みたいな物です、すみません無茶なお願いをして」


神様はニッコリと笑いこう言った。


「よいよい、さぁ行くが良い。来世が幸せに過ごせる事を祈っておるぞ」


こうして僕は異世界へと旅立った。

神様は気を利かせてくれたのか、16歳、つまり現世で言う高校生から再スタートをさせてくれた。

理由は、0歳からのやり直しは面倒じゃろ?と言う理由でだ。


こうして僕は異世界生活が幕を開けた‥

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る