第2話


鳥は寝ている。忌々しくも楽しかった、あの夢を鳥は見ている。

あの日の鳥はまだ若かった、幾度も負けた。やられた、負った、死んだ。

あの男が負けを認めるまでいったい何年をかけたのだろうか、夢にまで出て来るあの戦いの時間、あれはエサでは無かった。敵だった、初めての敵だ。


最終的には油断している所を不意打って、喰い殺した。・・・美味かった。


その後は数の暴力だった、

【不死身の存在:無駄に強い、さらに不味いし、今でも居座ってる】

【奇声を上げる白い人?:弱い、不味い】

【小林に化けてきた恐ろしい存在:思ったより弱かった、小林味】

【なんか幼女:住み着いた、不死身が邪魔で食べられない。美味そうなのに】

【腐敗した老人:腐ってて不味かった】

【攻撃を反射する男:死にかけたけど美味かった】

【異空間から武装を持ってくる人間:美味かった】

【複数のクマらしき人形軍団:不味かった】

【鳥を模したマスクをつけた人間:不味い】

【乳首大量人間:母の味?】

【うっとおしい波長で睡眠を阻害しそうな化け物:不味かった】

【ボブルと名乗るピエロ:不味かった】

【ドクウツボに酷似した化け物:美味かった】

巨大な化け物リヴァイアサン:美味かった】

【木の枝状の角に全身鱗で下顎無し、巨大な人型の生物:強いし、美味かった】

【超能力を扱う集団:不死身が居なけりゃ危なかった、あと美味かった】

【骨の恐竜:まさか骨で生き残っていたとはな、味は普通】

【音を食べる鳥:邪魔だから殺した、いらないから不死身にやった】

【誤ったような人型の生命:くっそ不味い】

【冷戦時代ビジネススーツを着た成人男性:邪魔してきた、美味かった】

【Jの力を持つ化け物軍団:全員美味かった】

【現実改変能力持ち魔女な女の子:懐かれた、なぜか喰えない美味そうなのに】

【洞窟奥から現れた虫社会みたいな人間軍団:ザコ、不味い、人間の方が美味しい】


などだ。数えるだけでもキリが無い。もう二度と財団世界は行かないことを心に決めた。


「鳥さん、遊ぼうよ」


魔女っ子がやってきた。


「・・・眠い」


そう眠い、だから遊びたくない・・・帰ってくれないかな。


「えぇー・・・遊んで!」


この魔女っ子は苦手だ。食べられないのもあるが、力の影響が強すぎる。この緋色の空間は鳥の空間だ。だから繰り返す事が出来る、この空間で鳥は殺せない。


「・・・はぁ、少しだけな…」


・・・ちっ、遊ぶしかないな。巻き戻せるとはいえども、いちいちやられるのは勘弁だ。というか現実改変の影響受けたなコレは、


「やったー」


(トカゲがあの人間に弱い理由が、なんとなく分かった気がする)


「言葉と文字の力を知らなければ、きっと知らなかったんだろうな」ボソッ


「何か言った?鳥さん」


「いんや、なぁんにも言ってないさ」

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緋色の災害 蠍ト鷹 @takasasori

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