仮面

椎名稿樹

仮面

 今日も仮面を被る。

 仮面が無いと外に出られない。別に僕だけじゃない。みんな仮面を被っている。

 誰も素顔なんて知らない。自分自身も分からない。本当の自分を。

 仮面には不思議な力がある。仮面があれば何でもできる。何も恐れることはない。いやただそう言う気になるだけかも知れない。それでも僕は仮面を被る。


 でもいつから仮面を被るようになったのか。もちろん生まれた時は被っていない。

 成長するにつれ自分の仮面を見つけるのか、それとも作り出すのか。

 家専用の仮面。学校専用の仮面。友達専用の仮面。

 もっともっとある。数えたらキリがない。


 数多ある仮面の中で一番付け心地の良いものを必然的に長時間つけてしまう。

 だってみんなもそうだろう? それが一番楽だからだ。


 仮面は怖いものだ。一度つけると癖になってしまう。外すタイミングが分からなくなってしまう。永遠に外せない。


 心のどこかで仮面を嫌っている。

 外せと言っている。

 それでも外せない。


 もはや仮面の姿を本当の自分だと思い込ませる。でも仮面はたくさんある。全部本当の自分だとしたら精神が壊れそうになる。


 鏡に映る自分。

 鏡の向こう側の自分は本当の自分かも知れない。どんな仮面を被ろうとも映し出される自分は常に同じだからだ。

 でも所詮は鏡。単なる像だ。自分ではない。いやそんなことは分かってる。


 本当の自分を模索する。でも常に仮面が付きまとう。追い払っても次の仮面がやってくる。

 この仮面は外せるのか?

 それとも外す必要はないのか?


 仮面を外せたと言う確信はどう得ることができるのだろうか?

 

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仮面 椎名稿樹 @MysteryQWorld

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