第7章 デートと.....露呈する世界

第14話 だんだんと露呈していく世界

何をしてんだ俺はぁ!!!!!とただ一人、悶絶していた。

本格的に馬鹿な事をしてしまったと思う。

今、沙穂は風呂に入っているが.....マジに馬鹿野郎だ。

因みになんで悶えているかって?

それは.....簡単だ。


俺は沙穂にキスを求められ、そのままキスしてしまったから。

マジに何を考えているのだ!?

沙穂はマジに未成年だぞ!

いくらムードが良くても駄目なものが有るだろ。

マジにアホなのか何なのか。


「.....沙穂になんて事をしてしまったのだ.....馬鹿野郎だな.....」


マジにとんでもない事をしてしまった気がする。

盛大に溜息を吐きながら俺はそのままゆっくりと立ち上がる。

皿でも洗おうかと思って動き出した。


取り敢えず考えを纏めたいが為だ。

そして.....皿を洗剤で洗う。

でも.....考えるに本当に幸せ者だな俺.....。

思いながら少しだけ笑みを浮かべた。


「.....沙穂が来てから.....世界が変わった気がする。本当にな.....」


そうだ。

まるで真っ白な世界に色が付く様に。

それなりにハイカラになっていったのだ。


俺は少しだけ笑みを浮かべながら.....皿を洗った。

そしてそのまま手が滑って落とす。

ガシャーンと音が鳴った。

しまった!


「うわ!?クソッタレ!」


「どうしたんですか!?」


「いや.....皿を落としてしまった.....え?」


ドタドタと音がした。

その音に目の前を見ると。

素っ裸の沙穂が立っていた。


心配そうに俺を.....み、見ているが!?

そんな問題じゃない!!!!!

俺は真っ赤に赤面しながら.....顔を隠す。

そして沙穂にツッコミを入れた。


「沙穂!!!!?お前、素っ裸!?」


「.....へ?.....あ、ああ!!!!!」


沙穂は気が付いて真っ赤になって去って行った。

そして.....影に隠れながら.....俺に問うてくる。

ただ、見ました?、とだ。

俺は首を慌てて振る。

だが沙穂はジト目だった。


「.....エッチ」


「いや.....お前が悪いだろ.....」


「.....小五郎さんなら見せても良いですけど.....それでもエッチです」


「.....いやおま。.....今とんでもない事を言ったろ。俺はそんな事はしないって言っただろ.....」


まあそうですね。

小五郎さんですし。

と恥ずかしがりながら慌てて去って行った。


しかし衝撃だった。

まさか素っ裸の女の子が出て来るとは。

思いながら振り返ると落ちているのを忘れていた割れた皿で足を怪我した。

イッテェ!



それから数十分後。

沙穂と会話していた。

来週の月曜日にバイトをしようと思う店に行くと言う。


俺はその姿を少しだけ不安に思いながらも見送る事にする。

アイツが一歩を踏み出したいと言ったのだ。

俺は.....それを応援する以外に何が出来るだろうか。


沙穂が.....目標を立てたのだから。

だけどそれでもまだ不安だ。

思いながら.....夕食を黙々と食べる。

そうしていると沙穂が切り出してきた。


「小五郎さん」


「.....何だ?」


「.....小五郎さんは.....やっぱり恋人は作らないのですか?」


「.....突然だな」


はい。

私は貴方が好き。

でも小五郎さんって.....恋人を作らないオーラ出してますよね。

と言うなり俺を複雑な顔で見てくる。

そして.....眉を顰めた。


「.....香穂お姉ちゃんの.....事ですか?」


「.....そうだな。.....俺な.....決めているんだ。今は恋人を作らないってな。作っても.....俺が幸せを打ち壊しそうだから」


「.....ですね.....でもそんな事は無いと思うんですけど.....。でもその、小五郎さんって香穂お姉ちゃん.....が好きだったんですよね」


「.....好きだったよ。だけど亡くなった。だから逃げたのも有る。俺は俺自身を死神と思っているから」


だから余裕は無いんだと思う。

付き合おうという.....そんな余裕が、だ。

俺はその事を言いながら沙穂を見る。

そんな沙穂は.....小五郎さんの闇を知りたいです。

と胸に手を当てて言葉を発した。


「.....駄目だ。お前に背負わせる訳にはいかない。俺は俺自身でケリをつける。お前の状態が悪くなったら.....俺の悩みになってしまうからな」


言うなり沙穂は.....ですね。

と直ぐに諦めた。

諦めの早さに?を浮かべる。

沙穂は苦笑した。


「.....そうですね。小五郎さんは多分、どう言ってもそう言うと思いました。.....でも何か有ったら必ず私に相談して下さいね。私は.....貴方の身近な存在ですから」


「.....」


「.....私は小五郎さんが心配です」


俺は.....その言葉を受けながら.....目線をずらした。

沙穂は、食べましょうか、と笑みを浮かべる。

その姿に、ああ、と返事した。

本当に切り替えが得意だな沙穂は。


その様に思いながら沙穂に向く。

明日。遅くなるから、と話す。

分かりました、と返事を受けながら沙穂は笑みを浮かべる。


そしてその様な会話をしていると.....電話が掛かってきた。

俺は?を浮かべてスマホの画面を見る。

電話主.....って、大家さん?


「.....はい?もしもし」


『もしもし。長谷場さんですか』


「.....はい。どうしました?」


『.....最近、噂を聞いているのとよく見ているんですが.....女性と一緒によく居ますよね?.....妹さんですか?』


大家さんは.....30代の女性で横島菜々子さんという方だが.....。

その言葉に少しだけ背筋が凍った。

俺はその事に、はい、と返事するしか無く。

どうも.....おかしい事を察されている様だ。

俺は乾燥した唇を舐めた。


しまった.....察されてしまっている。

いつかはこうなるとは思っていたが。

だってそうだろ。

隠し子をどんだけ匿ってもバレる様な。


そんな感じだ。

思いながら.....スマホを少しだけ握る。

そして直ぐに途切れさせない様に弁明をした。


「.....俺の妹です。あはは。.....今だけ預かっているんです」


『あ、そうなんだね。だったら良いです。大丈夫ですよ。.....その、変な事は無いんですよね?大丈夫ですよね?』


「.....はい」


社会の厳しさを改めて実感した電話で有る。

いつか.....いつかは菜々子さんに沙穂の事を解説をしないといけない。

このままではマズイ気がするのだ。


考えながら.....不安な顔になっている沙穂を見た。

このまま警察に問い合わされたら大変だ.....。

思いつつ言葉を発した。


「だから大丈夫ですよ。菜々子さん。引き続き宜しくお願いします」


『長谷場さんは家賃も納めてくれますから。今はその、うん。多目に見ましょう』


「.....」


現在、今は、か。

そして.....不安な時間を何とか掻い潜り。

俺はスマホをそのまま切った。

だんだんとグラスの中のワインを傾ける様に。

全てが傾いている様な.....。


そんな気がしてならない非常に背筋が凍る様な不安だった。

俺は.....思いながら窓から外を見る。

そして顎に手を添えた。

どうしたものか.....。

思いながら沙穂を見ると.....沙穂は何かを察した様に見つめていた。


「.....大家さんですか」


「.....ああ」


「.....」


そんな沙穂の不安な顔を見るのが辛かった。

だけど.....何とかなるだろう。

思いながら.....俺は沙穂の頭に触れた。

今はこうするしか無い。

互いの不安を解消するには、だ。


沙穂はあくまで.....親の許可を取ってない家出の子なのだから。

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