第十八話 かぐや姫は重く
「か、かぐや姫」
無意識にその名を呼んでいた。
姿かたちは奈代さんのまま。けれど、奈代さんの笑顔の面影が完全に消えた笑みでこちらを見る彼女に対して、僕は奈代さんとは違うもの名を告げる。
人に飛びつこうとする獣を前にしたような警戒心を持ちながら、彼女の方を真っ直ぐ見つめる。
彼女は動かない。
ただ、こちらを見つめるのみ。
「どうして」
向こうが何も言わない。動かないので、こちらから問いかける。
何故今出てきたのか。
正直聞きたいことは沢山ある。
何故、そこまで僕にこだわるのか。
どうして奈代さんを苦しめるのか。
何故、彼女の言葉を遮ったのか。
「何をしたいんだ」
目的を問う。
僕のその問いの、かぐや姫は初めて口を閉ざされた開き、問いに答える。
「愛ですよ」
「愛?」
「貴方からの愛が欲しいだけです! 貴方の
いつかの夕暮れの放課後にも聞いた言葉。
それを再び言う彼女に、僕は内心でやっぱり会話にならないと判断をする。
しかし、意外なことに彼女は続きを紡ぐ。
「でも、私は別にこの子を苦しめているつもりはないですよ」
「え??」
それはこれまでの情熱が籠った暴走的な発言とは異なる、理性的な発言。
声は穏やかで、直前までと雰囲気ががらりと変わる。
しかし、そんなことなどどうでも良くなるほどに彼女の言葉が許容できなかった。
「苦しめるつもりはないって。君は奈代さんを苦しめてるじゃないか!頭痛で生活に影響が出ているし、自分の感情すら分からなくなってる。君のせいで彼女は迷子になっている!!」
自分でもここまで怒っていることに驚く。
怒ることは疲れるため、普段はあまり怒らないようにしている。
しても語気を強める程度。
それなのに、かぐや姫の台詞を聞いて、一瞬で沸点が下がる。
血潮が熱くなっていることが分かる。
奈代さんを苦しめ、不安を与え、僕にも恐怖を植え付けた。
それなのに、その張本人は知らん顔して、あまつさえ自分には無関係と言わんばかりに冷静に言って来る。
これに怒らないで冷静になれと言う方が無理だ。
「それはこの子が勝手に悩んでいるだけですよ。頭痛も別に私が直接起こしているわけではないですから」
「直接ってことは間接的には関係あるんじゃないか!」
「でも、それは愛ゆえに起こったことだから仕方ないことなんですよ」
冷静に自分の言い分を告げるかぐや姫と冷静さを欠き、彼女に言い寄る僕の姿は、初めてあった時とは真逆だった。
いや、あの時は僕も冷静ではなかったため、真逆というほどでないが、本来なら愛に狂っている彼女の方が落ち着いて話をしているの奇妙に思えてくる。
「まぁまぁ。私と話せて嬉しいの分かりますが、落ち着いてください。それでは疲れてしまいますよ」
「どの口がっ」
しまいにはこちらを落ち着かせようと宥めてくる彼女の物言いに、腹が煮えくり返りそうになる。
一向に落ち着きを取り戻さない僕の態度に、彼女は何を思ったのか、一歩の場から引いた。
僕にはその行動が分からない。
けれど、警戒は解かない。この女は突発的な行動をする前提で考えた方がいい。
煮えたぎる心をそのままに、言葉を吐き捨てる。
しかし、直後彼女がとんでもないことを言い出た。
「冷静になってくれないのでしたら、ここから落ちます」
「……は?」
「聞こえませんでしたか?」
「いや」
「ここから、この体で、落ちますよ」
こちらが聞こえていないと思ったのか、もう一度言い直す。
聞こえていないはずがない。
聞こえてて意味が分からないんだ。
だって、そんなことをすれば、奈代さん死んでしまう。
今話しているがかぐや姫でも、その体の持ち主は奈代さんなのだから。
その体に傷をつける。もっと言うなら死傷をつけるわけには行けない。
何より。
「そんなことすると、君を死ぬけど」
「別に構いません」
開いた口が塞がらない。
話が通じると一瞬でも思ったのが間違いだった。
何故、目の前の女がそんな簡単に命を放り出せるのか分からない。
価値観の違いか?
昔の人間はそんなもののなのか?
そもそも、かぐや姫の目的は僕の愛を獲得すること。
そんなことを目的を達成できなくなる。
「僕は死体を愛する趣味をないよ」
「流石に貴方様にそんな趣味がお有りでしたら、私も愛は冷めないものの、少しだけ矯正を考えてしまいます」
趣味の矯正とはどんなことをされるのだろうか。
ますます分からない。
別に死んでも愛を獲得できるなら良いという考えでないなら、何故当たり前のように命を擲つ選択を取れるのか。
分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない。
目の前の人間のことが全く理解できない。
「じゃあどうしてそんなことができるの。死んだら僕に会えなくなる。それでも君はいいの?」
当たり前の常識。
至極一般的なことを説教をする。
けれど、目の前の奈代さんの皮を被った怪物は、逆にこちらの言っている意味が分からないという風に困った顔をする。
しかし、すぐに何か自分の中で結論を出したのか。妖しく明るい笑顔で言って来る。
「ありがとうございます。つまり貴方様は私と過ごす時間が減ってしまうことを恐れているのですね」
「ちがっ!」
「でも、安心してください! 次は今世よりも早く貴方様を見つけ出してあげますから」
「へ?」
この女は何を言っているのだろうか。
僕が疑問で思考を乱される中、彼女はこちらの状況に関係なく言葉を続ける。
「今世のように、再び出会いますから! 一度離れた貴方様と私が出会えたんです。来世で会うことくらいできるに決まっております! だって、私には尽きない愛があるんですか!」
その言葉に背筋が凍る。
そして、かぐや姫の言いたい意味が分かってしまった。
理解できてしまった。
だからこそ、鳥肌が止まらない。
彼女は、命を軽く見ているんじゃない。
ただ、命に事態に興味がないだけだ。
そもそも命が天秤に乗っていない。
だって、彼女にしてみれば僕の愛を受けるのは今生でなくてもいい。
最終的に、愛を受けれられば良いと思っている。
そして、何度でも出会うことが出来ると信じ切っている。
自分の愛に躊躇いがない。
それはもはや、信仰か妄信のレベルではない。狂信のレベルだ。
なまじ厄介なのが、一度で会えてしまっているという実例が出来てしまっていることだ。
そのせいで、狂信さに拍車を掛けている。
何より怖いのが、その狂信的な人間なくせに、妙なところで冷静さがある。
だから、僕が激高して会話が出来ない状況よりも、今の体を捨てるという選択を取ることが出来る。出来てしまう。
だから、当たり前のようにこんなことを言い出せる。
このままでは本当に、この女は奈代さんの体ごとここから身投げするだろう。
「分かった。落ち着くから話し合おう」
不幸中の幸いか、彼女の狂気を目の当たりにして、冷水を頭から被ったように、すっかり怒りは冷えた。
大きく深呼吸をして、彼女との対話を試みる。
「ありがとうございます。私も貴方様ともっとお話ししたいと思いました」
さっきまでのやり取りを忘れているのだろうか、笑顔でそういう彼女がもはや悪魔にしか見なくなった。
けれど、今は聞きたいことも多い。
まずは色々情報を集めてからだ。
「まず聞きたい。頭痛が間接的に関係あると言っているけど、どういうこと?」
「この子が頭痛を感じるのは、私の貴方様への愛が漏れ出る結果に過ぎません」
「もっと具体的に」
彼女の話は抽象的過ぎて理解しづらい。
元々、愛で全てが解決すると思ってそうなレベルの思考回路をしている人間なので、論理的な会話をしろと言う方が難しいのかもしれない。
けど、少しでも具体化してもらわないと、こちらの理解が追い付かない。
僕の言葉に、少しだけ考える素振りを見せる。
「私の貴方様への会いたいという感情が、漏れ出てると一緒に前世での記憶が少しだけ溢れてしまうんです」
「記憶が溢れることで頭痛が起こるってこと」
「そうです。 元々ある記憶に、前世の記憶が急に入ってきた結果、この子の脳を圧迫して頭痛を起こしています」
何となく理解が追い付いてきた。
つまり、かぐや姫が僕への感情の強めると、それが奈代さんに波及する。
そして、それと一緒に前世の記憶が少しとはいえ、急に流れ込むことで脳に衝撃を与えて頭痛を引き起こしている。
言ってしまえば、奈代輝夜という脳のコップに強く急激に水を入れることによって、水がコップから跳ねてしまい、結果として頭痛になっている。
「……ちなみに、奈代さんが前世の記憶を思い出すだけで頭痛が起こるものなの」
それが懸念材料だった。
ほんの少し記憶が混ざりだけであれだけの頭痛が起こるなら、もしも完全に前世の記憶が混ざった際にはどれだけの衝撃を彼女に与えることになるのだろうか。
それが不安でならない。
今の所は、奈代さんも前世の記憶を思い出している様子はないので、問題ないがそれも時間の問題だろう。
正直、僕が喋った結果、前世の記憶を思い出すみたいなゲームみたいな展開がないとは限らない。
まぁ。記憶が混ざり合った奈代さんを奈代さんと呼べるのかは何とも言えないが、今は置いておこう
「少しずつ思い出す分には問題ないと思います。あくまでも頭痛を起こしているのは急激な記憶の挿入によるものなので」
「つまり、ゆっくり記憶を思い出す分には問題ないと」
「はい。その認識で間違いないと思います。この子がちゃんと前世の記憶を思い出しているところをちゃんと確認しておりませんので、確かとは言い難いですけど」
さっきの僕の考えは間違っていなかったようで、奈代輝夜という器にゆっくり記憶と言う水を注ぎこむ分には問題が、勢いがついてしまうと行けないみたいだ。
一先ず頭痛の原理は分かった。
けれど、まだ気になることはある。
「どうして、途中から頭痛のパターンが変わったの?」
頭痛がかぐや姫の僕に会いたいという感情の揺らぎによるものだというのは分かった。
けれど、それだと途中から僕の近くではなく、離れた時に頭痛が起こることへの説明が付かない。
「最初は貴方様と早くお話をしたいという気持ちが強かったですが、あの夕暮れの日からは、貴方様の
「求める欲求が変わってこと?」
「そういうことになりますね。もっと言えば、貴方様と×××したい気持ちもありますが、それは愛を得てからですね」
(こわい! 実は奈代さんがむっつりな可能性って、かぐや姫の影響なんでは)
余計な一言によって、無駄な邪推をしてしまったが、今は良いだろう。
僕の質問に淡々と答えてくるのはありがたい。
同時に回答にも納得だ。
結局は段階の問題だったのだ。
最初は、話をしたいという気持ちから僕の近くに居るときに感情が強くなった。
お喋りしたい好きな相手が目の前にいたら、そりゃ感情が揺さぶれるのも分かる。
そして、押し倒された日。
彼女は、僕と会話をする目的を達成した。
その結果、会話したいという欲求は一旦落ち着き、次にもっと傍にいたいという欲求が生まれた。
そのため、僕から距離が離れると、近くにいたいという気持ちが溢れて、頭痛を引き起こしていたということだろう。
「頭痛の理屈は分かった。でも、それって間接的どころか、直接的じゃないの?」
話を理解した僕は、溢れそうになる怒気を控えて問いただす。
しかし、かぐや姫は変わらずに笑顔を崩さない。
「いいえ。これは私にとっても意図しない、無意識のことですから。これを直接的と言われるのは私も少し納得いきません」
「うぅん」
正直なところ、いや違うだろうとは言いたいが、無意識という点とそこを論点にして話を深堀りするよりも聞きたいことがまだまだあるので、万歩譲って間接的と言うことに落ちつけよう。
「分かった。じゃあ、それについてはもう良い。君は悪くない」
「やっぱり貴方様は素敵ですね! そんあ生前より変わらぬ大きな器にますます惚れます」
話を進めるリスクとしてより好かれるという問題が発生したが、どうせカンスト状態だから関係ないだろう。
というか、器の大きなところと言ったが、竹取物語の車持は偽物ってかぐや姫を騙そうとしたんだから、むしろ器が小さいのでは? いや、むしろ大物相手に騙そうとする辺り肝っ玉は据わっているから器が大きいとも言えなくないか? まぁいいや。話を進めよう。
「次に聞きたいのは夢のことだけど」
「夢?」
それまで、僕の質問に淀みなく答えていたかぐや姫が聞き返してくる。
「奈代さんが言っていた、夢の中で誰かが愛を囁いてくるってやつ」
「あぁ。それに関しては本当に私は何もしていません」
「はぁ? そんなことはないだろう。 事実奈代さんは、姿の見えない誰かが現れているって言ってけど、あれって君のことじゃないのか?」
まさかの回答に困惑する。
「確かに私が関係はしていますが、夢自体は何もしていません」
「どいうこと?」
「現代科学では、夢は記憶の整理と言われているのを知っていますか?」
「えっ。あっうん」
まさか遥か昔の人物から現代科学の話が飛び出し来るとは思ってもみなかったため、咄嗟に曖昧な返事をしてしまった。
「この子が見る夢は、あくまでも記憶の整理をした結果に過ぎません」
「どうして記憶の整理で君が出てくるの?」
かぐや姫は、教師が生徒に教えるように、これまで以上に冷静にかつ論理的に話す。
「先ほども言った通り、頭痛は私の感情と一部の記憶が漏れ出た結果となります」
「そうだね。それによって脳が圧迫されるって」
「ええ。ですから、頭痛の時に溢れてきた感情と記憶を、寝ている間に整理しようと脳が働いた結果、夢を見たと考えられます」
「なるほど。毎日同じ夢を見るのも、毎日頭痛を起こした結果だと」
奈代さんは準備室で片づけをした日から夢を見るようになったと言っていた。
それは、かぐや姫の欲求が変わった日だ。
その次の日から僕と離れているときに頭痛が起こるようになったのであれば、登下校の関係上、彼女は毎日一回以上は頭痛を起こしているだろう。
結果として、毎日記憶の整理が行われて、同じ夢を見るに至ったということか。
「確かに、君の感情に起因する頭痛が原因とはいえ、夢には直接的な干渉はしていないということか」
「ええ。そうなります」
つまり、逆に言えば、これからは頭痛が起こらないようにどうにか対策すれば悪夢から奈代さんを守れるということか。
これは大きな成果だ。
「じゃあ次に」
「お待ちください!!」
次の質問を聞こうとすると、かぐや姫に止められる。
「このまま貴方様と会話を続けるのもよろしいですが、ここに居続けるのもお体に触りますので、移動いたしませんか?」
質問を止めて何をするのかと思えば、至極真っ当な提案だった。
確かに、陽が落ち暗くなってから温度は下がり続けている。
春も過ぎ行く中とはいえ、まだ春。
日中は暖かいが、日が沈んでからは急激に気温が下がる。
奈代さんの提案でここに留まり続けたが、これ以上質問を続けるのであれば、ここは不向きだろう。
ここには、大通りみたいな竹林ではなく、見晴らしいのいい崖となっているため、風が吹くと直接当たり冷たい。
僕は良いが、かぐや姫の体は奈代さんのものだ。
体を冷やして風邪になられても困る。
何より、ここは本来客が入れる場所じゃない。
閉まる時間もあるので、そろそろ一度人通りの多い所に戻るべきだろう。
正直、何をするか分からない彼女を、衆目のある場所に出したくないという本音がある。前の廊下の時のように、急に押し倒されて馬乗りにされても困るし、社会的に死ぬ可能性がある。
とはいえ、このままとは行かないので仕方ないだろう。
「良いの? 場所移動したら、今君がしている脅しはできないよ」
そう。移動は僕としては衆目の中にかぐや姫を出すというデメリットに対してメリットが大きい。
その中で一番は、かぐや姫に命を使った脅しをさせられなくするというもの。
彼女は、僕が落ち着かせるために崖際に立ち、その命を奈代さんの肉体ごと人質にとった。
けれど、移動してしまえばそれができなくなる。
それは、彼女にとって大きなデメリットになるに違いない。
それは彼女も分かっているだろうに、どうしてそんな提案をするのか分からなかった。
「大丈夫です。貴方様はもう落ち着いていらっしゃいます」
「また、冷静さを失う可能性もあると思うけど」
「いいえ。今の貴方様は冷静です。私から情報を引き出すことを最優先に考えていますから」
まるでこちらの内心を見抜くように、鋭い眼光をこちらに向けてくる。
「それに」
「?」
更に言葉を続ける彼女の顔が柔らかいものになる。
「この子の体を病気に苛ませるわけにはいきませんから」
「!」
かぐや姫が手を胸に当てながら、奈代さんを配慮する言葉を出した。
それは間違いなく、奈代さんへの慈愛が乗せられた言葉であり、穏やかなその表情は普段から奈代さんが見せる優しいものだった。
今まで一度も、奈代さんと面影被ることの無かった悪魔のようの女の顔が、この時だけ奈代さんと被る。
「分かった一度戻ろう。けど、問題がある」
「問題ですか?」
「帰り道が分からない」
そう、深刻な問題として、ここまで案内した奈代さんは今かぐや姫と入れ替わっている。
僕は案内されただけなので、あの迷路のような分かれ道をどっちに行けばいいのか覚えていない。
スタッフ用のルートを通るという手もあるが、誰かと出くわしたときに説明がしにくいため、出来れば避けたい。
だから、元の場所に戻るのであれば、奈代さんに代わって欲しい。
けれど、せっかくかぐや姫が出てきて、しかも以前と違いコミュニケーションをしっかり取ることが出来ている。なので、今のうちに手に入れられる情報は手に入れときたいという考えもある。
一度、奈代さんに戻ってからもう一度かぐや姫になってもらう手もなくはないだろうが、彼女の出現方法と奈代さんを余計に苦しめる結果になりそうなので、できればしないに越したことはない。
「う~ん。現実的な策としてスタッフルートを通るか」
最悪何か言われても、迷ったで押し通せば何とかなるだろう。
スタッフもただスタッフ用ルートを歩いていただけなら、そこまで追及もしないだろう。と信じたい。
僕の中で、最も現実な案を採用すると決めると、そのタイミングで再びかぐや姫が提案してくる。
「私が案内出来ますので、ご心配いりませんよ」
「え? どうして」
「この子の記憶は私も共有していますので、ここまでの道筋は知っております」
「そうなんだ」
かぐや姫が案内できるなら、入れ替わる必要もないので一番良い。
同時に、先ほども思った疑問が湧く。
「では、ついて来てください」
しかし、質問をする間もなくかぐや姫は歩き出したので、それを急いでおう。
「どうぞ」
スタッフルートはそこまで長くはないため、すぐに藁の柵に到着する。
かぐや姫がそこを開き、僕に先に通すと、奈代さんと同じように僕が戻ったのを確認してから自分も潜り、藁の柵を閉める。
ただでさえ、手入れが行き届いておらず、暗かった竹林は真っ暗だ。
少し先も見えず、目を凝らさないと遠くが見えない。
かぐや姫は僕の隣に立つと僕の手を自らの手で繋いでくる。
「えっ? なんで??」
突然手を繋がれたことで、頭が困惑に満たされる。
手から伝わってくる人肌の温もりが、この暗さのせいか安心感を与えてくる。
例え、相手が愛の狂信者だとしても肉体は奈代さんのものだ。
ドキドキしないはずがない。
自らの心臓が速まっていることが分かる。
女子と手を繋ぐというシチュエーションはただのオタクにとってはキツイものがある。
嬉しいことは嬉しいが、それ以上に動揺がある。
けれど、こちらの動揺を悟らせてはいけないと謎の使命感に駆られ、平然を装う。
「いきなりどうして、手を繋いだの?」
手を繋いだことによって、距離感が近くなり、暗闇の中でもくっきりと見えるかぐや姫の表情は、とても楽し気で、してやったりと言った悪戯心の溢れたものとなっていた。
「この暗闇なので、迷ってはいけませんので」
「スマホのライトがあるから」
「それに、色々質問している代償を頂いてもよろしいのではないですか?」
それを言われてしまっては、何も言い返せない。
確かに、相手が相手とはいえ、ずっと質問しっぱなしというのは少しだけ悪いとは思ってしまう。
今まで、どうすることも出来なかった情報を集められると考えれば、これくらいで済む分マシな方だろう。
これ以上のことを要求されたら断るつもりだが、手を繋ぐくらいならまだいい。
「分かった」
「ふふ」
僕が代償を容認すると、かぐや姫は微笑み、握った手を更に強く握る。
そして、案内をするため、一歩前に出て手を引いた。
「こちらです」
そう言って、誘導するかぐや姫は、どこか無邪気な子供を思わせるものに見えてしまった。
いや、駄目だ。
あれは狂信者。自分の命すら天秤に乗せることすらしない、警戒心を解いてはいけない相手だ。
僕は緩みかけた心を引き締めつつ、引っ張られる手に従い、かぐや姫と共に歩き出す。
「このまま質問をしてもいい?」
暗闇の中、空いている手でスマホを持ち、ライト代わりにしながら歩く中、無言のまま手を繋ぎ続けるのは気まずいため、先ほど聞けなかった質問を聞く。
正直、道は分からないが、ここから大通りに出るまでにそれなりに掛かることは分かっているため、その時間ずっとこんな肝試しみたいな状態でいるのは嫌だという気持ちが大きい。
いや、幽霊よりも隣で歩く存在の方が怖いからサスペンス的な恐怖の方が勝つが、それでも何も喋れないよりマシだろう。
「ええ。いいですよ」
かぐや姫も同意したので遠慮なく聞く。
ずっと引っ掛かっていたことだ。
「君と奈代さんの記憶の共有の仕方はどうなってるの?」
奈代さんは間違いなく前世の記憶の持っていない。
それなのに、かぐや姫は明らかに現代の記憶を持っている。
脳は一つなのに、記憶の持ち方が違う。
今だってそうだ。明らかな彼女は奈代さんの記憶を持っているからこそ、帰り道を案内できる。
それがずっと気になっていた。
「基本的に私はこの子が見聞きしたものを記憶してます。だから、私には前世の記憶とこの子の奈代輝夜としての記憶を持っています」
「やっぱり。で、奈代さんは前世の記憶を知らない状況だと」
「いいえ。それは違います」
「え?」
これだと決めつけて考えていた仮説が否定され、少し驚嘆する。
「正確にはこの子も前世の記憶を知ることはできるのです」
「え? でも、それだったらなんで奈代さんは何も知らない状態なの」
謎を解決したかと思ったら、新たな謎が生まれた。
「それはこの子が知ろうとしないからです」
「知ろうとしない?」
「はい。私の場合、この子の記憶が足される感じですが、この子が前世の記憶を知るためには引っ張り出す必要があるんです」
「つまり君の場合は自然と備わっていくけど、奈代さんの場合は意図的に知ろうとしない限りは知らないままだと」
「はい。ちょうど、映画でやっていた結末に似てますね。この子は様々な記憶が納められた記憶の棚から、前世の記憶を探して、自分の意思で出さない限りは記憶として思い出すことができない」
イメージを掴めた。
つまり、奈代さんは、膨大なデータベースを持っているが、自分から検索しようとしない限りは記憶を見つけ出すことが出来ない。
更に言うなら、奈代さんの場合は。
「前世の記憶があるという事実を知らないため、記憶を引き出すという行為そのものを分かっていないので、前世の記憶を持っていないのは当たり前なんです」
そう。膨大な引出しを持っていても、その引き出しがなんの引き出しなのか、何が入っているのか認識していなければ、探すことも引き出すこともできない。
頭痛に関しても、先ほどはコップから跳ねた水だとイメージしたが、より正確にいうなら、かぐや姫の欲求と言う地震で、勝手に棚の一部が勝手に開いてしまった結果なのだろう。
だが、そうなると厄介なことがある。
「じゃあ。前世の記憶があると知った今は」
「一応、引き出そうと思えばできるとは思いますが」
「そう」
僕が全てを話した結果、奈代さんは自分にかぐや姫の記憶があることを知ってしまった。
今まではその記憶があることすら知らなかったため、引き出すことの無かった記憶に触れることが出来る可能性が出来てしまった。
そして、それによって奈代さんがどう変化してしまうのか分からない。
かぐや姫の場合、その強固な精神とかぐや姫の記憶の上から、足される形で年月をかけて記憶を積み重ねた結果、その在り方を変えずにいる。
けど、奈代さんは今まで自分と同じかそれ以上の記憶を一気に手に入れてしまった場合、その在り方が歪んでしまうかもしれない。
もしかしたら、完全に前世の記憶に乗っ取られて、かぐや姫となってしまうかもない。
記憶が人格を作る。
かぐや姫と全く同じ記憶の持ち方をすることで、人格が歪む可能性は高い。
これは、奈代さんに戻った時に注意をする必要があるかもしれない。
間違っても、一気に記憶の引き出しを開けるべきではないこと。
いっそのこと、そもそも思い出す必要ないことを。
僕は心の中のやることをリストにメモをする。
「ちなみに、君的にはどう思う」
「どうとは?」
「奈代さんが前世の記憶を取り戻すこと」
「そうですね……」
軽い気持ちで、かぐや姫に奈代さんが前世の記憶を思い出したらどう思うか聞いてみたが、何故か悩んでいた。
もっとすっぱり、「そうなればいつでも貴方様とお話ができるようになります!」と言うとばかり思っていた。
奈代さんが前世の記憶を取り戻せば、奈代さんは完全にかぐや姫となり、分離している二人は完全に一人となるだろう。
そうなれば、かぐや姫的には喜ばしいことと思っていたが、彼女の様子を見るにそうでもないだろうか。
しばしの無言の空間が流れ、結論を出したようで、口を開く。
「私的には、記憶は取り戻して欲しくないです」
「え?」
まさかの回答。
それは僕が想像していなかった答えだった。
「なんで? 君的にも分かれている記憶が完全が元に戻れば、奈代輝夜は完全にかぐや姫になるから喜ばしいことなんじゃないの?」
僕の答えを予想していてのか、彼女は笑いながら空いている方の手の指を二本立ててこちらに見せる。
「貴方様の言いたいことは分かります。確かに私的には貴方様ともっとお話しできる機会が触れるのは嬉しいことです。この体が完全に前世と同じ状態になったら、すぐに貴方様の愛を奪いに迎えますから」
そうなったときのことを想像して、背筋が少し凍る。
けど、より不可解だった。
そうやって、メリットを語るのであれば何故奈代さんが前世の記憶を手に入れることを拒むのか。
「それ以上にリスクが多いからです」
「リスク?」
彼女は立てた二つの指の内一本を折る。
「一つは完全に私になれない可能性」
「つまり、奈代さんが前世の記憶を引き出し終える前に、その行動を止めてしまうってこと?」
「流石の理解力です。感嘆いたします」
「お世辞は良いから、話を進めよう」
「貴方様の言ったっ通りです。この子が前世の記憶を中途半端な形で読み取った場合、それは私と奈代輝夜という今の構図から、私と奈代輝夜だったものとの構図になり、何も変わらないんです」
かぐや姫はさらっと何も変わらないと言っているが、奈代輝夜が奈代輝夜で無くなっている。
僕にとってそれが重要なことであるが、彼女にとってはそこはどうでも良いのだろう。
やっぱり信用できない。
奈代さんの体を気遣うような素振りを見せるから、実は彼女のことを大切にしているのではと思ったが、根本のところでは、やはりどうでもいいのだろう。
正確に言えば、奈代輝夜という今の人格に興味を持っていない。
前世の記憶で奈代輝夜が変質しても、かぐや姫にまで至っていないのなら、それは奈代輝夜という判断をしているということだろう。
僕は苦虫を噛み潰したよう顔をしながら、一瞬、口の奥で舌打ちをする。
彼女も、それに気が付いたようだが、何も言わずに話を進める。
更にもう一本立ててていた指を折り、拳を作った状態になった。
「この子自体が私の障害となる売る場合です」
「障害?」
「はい」
「それは、奈代さんが前世の記憶を取り込んだときにかぐや姫にならないで、奈代輝夜であり続ける可能性があるってこと?」
それなら僥倖だ。
奈代さんを奈代さんのまま、全てを解決できるならばそれに越したことはない。
「いいえ。そうではありません」
しかし、残念なことにそういうわけではないようだ。
では、一体奈代さんの何が、このかぐや姫の障害となるのだろうか。
この愛の狂信者が障害というくらいだから、それなりの事だと思うが見当が付かない。
「じゃあ。一体どういう」
「この子が私の愛に感化されて、あなたを奪ってしまうことです」
今日何度目か分からない、開いた口が閉じられない状態になった。
確かに、僕からの愛を熱望する彼女ならではの発想だが、まさかそうなるとは思わった。
誰が誰を好きになろうと、個人の自由。
まさか、それを障害と言い切るとは思わなかったが、自分の感情が流れた結果、ライバルが生まれるなら、確かに前世の記憶を見させるのがデメリットと呼ぶのも分からなくはない。
分からなくはないけど、納得は出来ない。
何故なら。
「それをいうなら、奈代さんは既に君から溢れてきた感情で、自分の感情が分からなくなって苦しんでいるけど?」
少し口調で、最後に聞こうと思っていたことを聞く。
奈代さんは、今自分の感情が分からなくなっている。
自分の持っている僕への好意が自分自身のものなのか、与えられたものではないか。
そんな疑いを持ち、迷子になっている。
それなのに、感情を流し込んでいる張本人が、ライバルになるから前世の記憶を手に入れられると困ると言っている。
こんな理不尽なものいいがあっていいものなのか。
再び、血潮が熱くなる感覚に陥る。
「いけませんよ。貴方様」
瞬間、手をから伝わる強く握られる感覚。
突然の外部からの刺激で、熱くなってきた頭が熱を拡散させる。
当の刺激を与えた本人は、こちらを妖しい笑顔を向けながら微笑むのみ。
「この子が感情で苦しんでいるというお話ですが、それは頭痛の件と同じく私の看過しないもの」
「また、無意識の結果だからと言い逃れるのか?」
「事実なのですから、そうとしか私は主張できません」
脱線しかけた話を元に戻しつつも、改めて自分は関係ないと彼女は言う。
たださきほどと違い、その言葉にはどこか、悔しんでいるような感情が見て取れた。
「貴方様への愛は全て私のもの! 私が育んだ愛は私のもの! 本来であれば、この子に少しも渡す気はありません!」
それは己のものを取られた子供のような発言だった。
自分の育ててきたものを奪われたものの言い方。
だけど。
「それを君が言うのは駄目じゃない?」
「どうしてですか? 私は私の愛を奪われているのですよ」
僕の質問に、心の底から疑問符を浮かべる彼女は、まるで自分の言い分に何過不足があったのか理解できないという顔だった。
「だって君のせいで、奈代さんが困っている。それが意図しない物だろうと、困らせている本人が、それを言うのは間違っていると思う」
「……」
頭痛の件は、この際飲み込むとしよう。
感情に関しても、同じ言い分だけならなんとか割り切ろうと思っていた。
けれど、無意識とはいえ困らせている本人が、困っている人間に対して苦言を呈するのは間違っている。
それは容認する訳にはいかない。
「……分かりました。確かに、こちらの落ち度で人を責めるの見苦しかったですね」
僕の真摯な気持ちが伝わったのか、かぐや姫は自分の発言を訂正する。
「とはいえ、私の愛を一部とはいえ、持っていかれることに反感を持っていること自体は変わらないので、そこは譲れません」
しかし、自分なりの線引きがあるのか本心までは変えるつもりはないとはっきりと宣言する彼女。
「それでも良いよ。どう思うかは人の自由。人の思考にまで僕は制限を掛けるつもりはないよ」
「そうですか」
僕にとって大事なのは、かぐや姫がどう思っているかよりもそれを口に出してしまうことだ。
何を思っていようが、人の自由だが、それを口に出していってしまうのはいけない。
それを聞いた人に対して失礼になるうえ、災いの元になる可能性がある。
まぁ。今回の場合は災いの塊みたいな存在の発言だから、微妙なところではあるが、非を認めたなら、僕はそれ追及しようとは思わない。
それよりも大事なのは、奈代さんをこれ以上苦しめない方法が重要だ。
「着きました」
だいぶ話し込んでいたせいか、気が付けば大通りに戻っていた。
見所である時間帯を過ぎたからか、人は来た時ほどおらず、まばらだった。
視界に入る人の数も、両手の指ほどもいない。
竹林はいくつかのしたからのライトで、照らされて、美しいライトアップをしていたが、夕陽と竹林が編み出す光景によりかは幾分劣っていた。
人がまばらなのも、そのせいだろう。
個人的にはライトアップされた竹林と言うのも風情を感じられてたが、今はそれどころではない。
機会があれば、この光景も堪能してみたいものだ。
「あっ!」
僕は到着を確認すると、夜の竹林の景色に目を向けながら、かぐや姫から手を離す。
彼女は名残惜しそうに顔をするが、『迷子にならないように』という大義名分のもとで手を繋いだため、その名分が無くなった今、こちらが手を離すもの仕方ないのだと考えているのだろう。
残念ながら、僕はこれ以上を手を繋ぐつもりはない。
外側は奈代さんでも、中身がかぐや姫である以上、触れているとトラウマを刺激される気分になる。
だから、彼女がどんな大義名分を掲げても、もう十分だ。
「いいんですか? 手を離したら私が何かするか分かりませんよ」
「うっ」
「ここでいきなり押し倒してもいいんですよ」
「待って」
……まさか、大義名分すらかなぐり捨てた純粋な脅しを食らうとは。
にじり寄る彼女を掌を突き出して制止する。
確かに、彼女を繋ぎとめておかないと、何をしでかすのか分からない。
特にここは、人の目がある。
最悪、僕が社会的死になるようなことになるなら良い(良くはない)けど、奈代さんの姿をしたかぐや姫が何かすれば、奈代さんに被害が良く。
自分の知らない所で、被害を被ることになるのは可哀想だ。
「ふぅぅ。 分かった」
息を吐き、覚悟を決めて彼女に自らの手を差し出す。
彼女は差し出された手を嬉しそうに眺めると、飛びつくように腕に引っ付いてきた。
「手を繋ぐだけじゃあ!!!」
「それじゃあ物足りなく感じたので、こっちが良いです」
まさかの体を腕に押し当てて密着させてくる。
しかも、腕には柔らかに弾力が当てってくる。
奈代さんは胸は大きいというほどではない平均的なものだが、それでもこの密着具合では当たってしまう。
今まで感じたことの無い未知の感覚に酔いしれそうになるが、頑張れ僕! ここで誘惑に負けてしまっては誰がこの女の手綱を握るのか。
何より、奈代さんに申し訳ないと思わないのか!
自分の知らない所で男と密着されている奈代さんのことを思い、罪悪感を抱くことでなんとか、沸騰しそうな脳を冷やす。
「このまま行きましょう」
どこか妖艶で、こちらを試すような口調で僕の腕ごと引っ張り歩く。
引き離そうとすればできるが、それをして彼女が逆上して何をするのか分からない状態にな方が怖いため、為すがままにされる。
決して役得だと思っているからではない。
出口に向かって歩く中、少しばかり周り視線を感じるが我慢するしかない。
夜の竹林の雰囲気と相まって、神秘的なものを感じさせる美少女が男の腕に絡まって歩いているのだ。そりゃ、目を引くだろう。
頼むから、学校の人がいませんように。
僕は学校でも対して目立たないから、誰も覚えていないだろうし、見られたところで分からないだろうから問題ない。
けれど、奈代さんは入学直後から、美少女の新入生と話題になっていた。
学校の人に見られたら、すぐに気づかれるだろう。
「周りを気にし過ぎじゃあないですか?」
「君が気にしなさすぎなだけだ」
「貴方様が目の前にいるのに、周りに目なんて行きませんよ」
そう言って、更に腕に引っ付く力を強める彼女を見ながら、ずっと考えていたことを提案する。
正直、これを提案したらどう反応するか分からない以上、人の目のないところでと思ったが、何が起こっても被害は僕だけにしか向かず。取り押さえられるこの状態で話す方が良いかもしれない。
「ねぇ。君はさっき言ったよね。 愛をかすめ取られるのは嫌だって」
「はい。完全に前世の記憶も取り戻して、一つになってくれるならまだしも、中途半端に記憶を除かれ、貴方様への愛を少しでも持っていかれるは嫌です」
「頭痛が起こるたびに、少しずつ感情が持っていかれるというのも嫌だと言ったよね」
「はい。溢れてしまった愛を拾われたようで、好い気はしません」
奈代さんは別に意図して拾っている訳でも、喜んで拾っているわけでもないけどな。
心の中で少し毒づき続ける。ここからが本番だ。
「じゃあ、協力しないか」
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