第2話 長州藩の大砲の虚実
長州藩が攘夷を実行するとして、欧米諸国の艦船を砲撃し、各国艦隊と戦うこととなりましたが、各国艦隊と長州藩砲台の砲撃戦のイメージは以下のようなものではないでしょうか?
各国艦隊がずらっと並ぶところに、長州藩の陸上砲台から砲撃された砲弾ははるか手前で、あえなくボッチャン、各国艦隊各艦からの砲弾はバンバンと長州藩の砲台に命中、砲台はあっという間に崩壊。軍艦の乗員は、
「長州の大砲、オンボロで~す。」
と嘲笑う。
しかし、例えば、フランス海軍士官の回想ではかなり異なっています。
旗艦には、至近弾が一発あっただけだが、スループやコルベットにはかなりの命中弾があり、危ない艦もあったと記しています。これを大型艦の新鋭砲に長州藩の旧式砲が完敗したと言うのでしょうか。実際、長州藩の大砲は大きなものでも80ポンド砲と言われ(形式は語られませんが)、欧米諸国の大型艦には150ポンド砲以上の砲も搭載されていました。もし、これを新旧で論じるなら、大和の46㎝砲という新型砲と利根の20㎝砲という旧式砲と論ずるのと同様におかしなことです。さらに、長州藩の木砲が見つかっていることを強調する人がいますが、フランス側が、我が国にあるのとよく似ていると言っているところを故意に無視しています。
コルベットやスループが搭載する砲は30~80ポンド砲ですから、それらが危なくなる程の命中弾があったわけで、同一口径でのフランスの艦砲と比べて、旧式の長州藩の大砲が射程、命中率ではるかに劣っていたと言うことは出来ないと思います。また、フランス側が、長州藩砲台が洋式技術による堅固なものだと評価していますが、大砲を旧式だとは評価していません。
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