第2話 昨日の私

ハサミを部長の目に突き刺した時、ぐにゃりと弾力のあるそれは、気持ちの良いほど簡単に潰れた。ふらつく足を払えば、部長は簡単に倒れ、背と頭を床のタイルに打ち付けた。目を押さえもがく部長に馬乗りになって頭を手で固定しながら頸を何度も刺した。そのままハサミを頸に放置すれば、左利きのあの子が部長を刺した現場のできあがり。

いつもと逆についた刃と柄は、ハサミとして使うには持ちにくかったけれど、握って刺すだけなら大きな問題はなかった。

血を浴びず証拠を残さないための合羽と手袋を外し、鞄に詰め込んだ。適当なところで捨ててしまえば、私のものだとは気づかれないはず。


部長は、あの子は、先輩を縛り、苦しめている。私が手を出さなくたって、そのうち天罰が下って当然なのだから、それが少し早まっただけ。部長は死に、あの子は刑務所行き。先輩はやっと解放される。


家に帰って、右手用のハサミで、合羽と手袋を切り刻んだ。

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