第3話 誤解は回り回って複雑に

「ちょっと! 待って胡蝶! トイレに行かせて!」

 僕の手を引っ張る胡蝶にトイレに行かせてくれと頼むと彼女は空になったペットボトルを渡してくる。

「これでして、私しか居ないから大丈夫だよ」

 何が大丈夫なのだろう? むしろ問題しかない。

「なんでそんなに怒っているの? 何か怒らせるようなことした?」

 幼馴染の胡蝶がこんなに怒っているのは大好物のあんころ餅を食べてしまった時、以来だ……。

「そりゃあ怒るよね? いきなり席を移動させられて晶は私が隣にいた時より楽しそうにミランダさんと喋ってるんだもん」

 成る程、ミランダさんと話したかったのに僕が彼女の隣になって楽しそうにしてるのが悔しいのか……。

「それじゃあ席を変えてもらおうか? 僕はそのほうが嬉しいんだけど(授業中に彼女に質問攻めされるはさすがにキツい……。僕は決して成績がいいわけじゃないからね)」

 そういうと胡蝶は顔を赤らめて口元を手で隠し照れている。(相当嬉しかったのだろう)

「分かった、それじゃあ許してあげる! トイレ行けば」

 そういって嬉しそうにスキップしながら胡蝶は教室に戻って行ったので僕は、とりあえずトイレに行くことにした。

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