第1話 転校生

 昇降口に入って、ナンパされていた美少女とは別れて3階にある2年生の教室に向かう。

『キーン コーン カーン コーン』

 チャイムが鳴り終わると同時に僕は教室に滑り込む……。

「セーフ! セーフだよね?」

 扉のほぼ横にある自分の椅子に座り教壇を見つめるが、肝心の先生が居ない……。


「本当だったらアウトだからね」

 そういって隣の席で幼馴染みの西染にしぞめ胡蝶こちょうが睨みを利かしてくる。

「いやいや、居ないってことはセーフだから……。よかった間に合ってフゥーッ」

 そういって席に着くと先生が教室の扉を開けて入ってくる。

「おはようございます。霜月しもづき君、本当だったらアウトですけど、今朝のおこないに免じて無かったことにしてあげます」

 そういって担任の薫子かおるこ先生がニヤついた笑みを浮かべて僕のことを見つめてくる。

「今日は皆さんにお知らせがあります。うちのクラスに転校生が加わります。それじゃあcome in♪」

 さすが英語教師、発音がめっちゃ良い!

 薫子先生がそういうとドアが開いて声が聞こえた。


「おはようゴザマス」

 そういって金髪の少女がヒョコッと扉から顔を出してキョロキョロと辺りを見回し、俺と目が合う。

「シンセツナひと!thank you!」

 そういうと少女は僕の手を握りブンブン振り回してくる。

 僕は状況が分からずポカンとして、ただ頷くことしか出来なかった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る