8ー1
「自分の高校時代の先輩で探偵事務所を職業にしているんですけど、滝森蓮さんです」
「蓮さんかぁ~。よく警察の捜査に協力してくれるし、秋於と親友の人だろう。そっか~。その蓮さんのお子さんかぁ~」
綾と渉は2人の刑事さんの会話に父の偉大さを感じていた。
「俺は
羽間刑事の先輩である野上幸宏は背が高く、動きやすい服装をしている。一言で言えば、私服刑事。お店の中にお客さんに交わって万引き犯を捕まえる刑事さんみたいな、格好をしている。
隣のスーツ姿の羽間刑事を見ていると私服の方が断然、似合っていると思わせるほどの体格だ。見た目は少し怖そうだが、話をしてみると優しい人だ。
「初めまして滝森綾と言います。それでこっちが」
「弟の渉です。初めまして。お互いに高1です」
「よろしくなぁ。それで綾ちゃんと渉君は、どうしてここに?」
綾と渉がなぜ屋上に来たのか不思議に思っていた野上刑事が質問してきた。渉が綾を見て綾がここに来た理由を話す。
「実は、ちょっと調べたい事がありまして。中に入れませんか?」
「うーん……そう言われてもなぁ~」
「大丈夫ですよ、先輩。綾ちゃんと渉君は蓮さんのお子さんだし、それに2人は探偵ですよ」
「マジかぁ!」
「はい。蓮先輩がそう聞きました。それに秋於先輩から今回の事を2人で調べているから、何かあった時は協力してくれって言っていました」
「そうか……分かった。中に入ってもいいよ。ただし、羽間同伴でもいいかな?」
「はい、構いません。今から調べる事は人手が多い方がいいので」
「何を調べるんだい?」
「それは今から準備をします」
「綾?」
渉にも綾が何をやるのか、よく分かっていなかったみたいで綾は、2人に今から自分がやりたい事を話し始めた。
「ここで天体観測をする時に準備を私と渉も関わっていました。実はその時に私と渉は少しの間、屋上から離れた時間がありました。その時に屋上のフェンスに細工をする時の時間。犯人が余裕の時間があっての行動をしたかは知りませんが、どれくらいの時間で細工ができるのか知りたいんです」
「それって最初の転落死があった時のだよね?」
「はい」
「実験をやるなら俺と綾が屋上から離れた時間も入れてやってみるのか?」
「うん。私と渉がこの場に戻って来る時間内で細工が出来るのかも知りたいから」
「俺達が離れた時間は20分くらいかぁ?あの時は35分くらいで準備が終わらせたはずだから」
「そうね。仮に20分だとして20分以内に終われば誰でもできる可能性がある。それにせっかく羽間さんが手伝ってくれるんだから、実際にフェンスのネジを外してまた元に戻す時間をストップウォッチで測れるし、最後に羽間さんに最終確認もしてもらえる。すみません、羽間さん。最終確認をお願いしても大丈夫ですか?」
「いいよ」
「ありがとうございます。じゃあ、渉。あの時と同じ再現するから」
「分かった。俺は職員室に行って竹村先生に事情を話してから準備する」
「お願い。メールか電話ちょうだい」
「分かった」
渉は一旦、その場から離れた。
綾は自分で持ってきたストップウォッチを羽間に渡してあの時の事を軽く説明した。
説明が終わる頃に渉から電話があり、必要な道具あるいは物を準備してからまた屋上に戻って来た。
「お帰り」
「準備はOKだ」
「じゃあ、やりましょうか。羽間さんも準備はいいですか?」
「いつでもいいよ」
「じゃあ、始めます。私が『押して下さい』と言いますので、ストップウォッチを押して下さい。終わった時は声をかけるので」
「分かったよ」
「渉もいい?」
綾は2人に準備はいいのか声をかけてから、綾は手を上げた。
そしてあの時の再現に入った。再現に入って少し間を置き、行動にうつす。
「テープが足りない」
「じゃあ、取ってくるよ。第2理科室に行けば、あるの?」
「うん。あっ、ランプもお願い」
「1人で大丈夫なのか。俺も一緒に行くよ。その方がいいだろう?」
「ありがとう、お願い」
「分かった」
「押して下さい!」
渉が屋上から姿が見えなくなる。あの時は渉だけではなく綾も一緒に姿を消したが今回は、渉だけ姿を消してもらった。
綾はその場に残り、準備していた充電式のドライバーの持つと軽いタイプを持ってフェンス越しに移動してフェンスとフェンスの間のネジを外しにかかった。
外すといっても完全にネジをとるのではなく緩めるだけ。
綾がネジを緩め終わると羽間刑事に声をかけてストップウォッチを止めてもらった。そして、羽間刑事にお願いしたストップウォッチを時間を確認している。
時間を確認していると渉が戻って来たので、今度は逆の場合で実験してみる。
さっきと同じ流れで実験をやるのに準備をする2人。綾はもう一度、羽間刑事にさっきと同じ流れで実験の協力をお願いし、今度は渉がフェンスの間のネジを緩めるのにどれくらい時間がかかるのか実験をしていった。
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