7
山里和志が屋上の転落から学校は2日間休校になり、一番辛かった天文部も今では、なんとか部活活動している。けど、部活のムードメーカーと言える和志がいない存在は暗く辛いものがあった。
あれ以来、屋上に行くことはもちろん禁止されたまま、そして天文部の生徒、青山雫に続く山里和志と2人の生徒が亡くなってしまった。
(なんで和志先輩が殺されなくちゃいけなかったのかな。雫とは同じ部活以外に何か接点でもあったのかな?)
「今日も早いが部活を終わりにする」
「「「はい」」
「綾君。綾君。聞いているかい?」
「あっ、すみません。考え事していました」
「そうか。じゃあそれぞれ荷物を持って教室を出てくれ、鍵を閉めるから」
「……あの部長、私……もう少し、ここにいてもいいですか?」
「アズサ君……分かった」
あれからアズサは、みんなと一緒に帰る事が無くなった。それは和志の事故以来になる。
アズサの心の中では今でもあの時の事故は自分のせいだと自分を責め続けていた。それは違うと周りから言われても気持ちは固く、自分のせいだと今でも思い続けている。
「最後の鍵閉め……よろしくお願いするよ、アズサ君」
「はい」
それぞれが荷物を持って教室を出ていった。和志が亡くなってからはいつもアズサが1人、教室に残っている事が多くなっていた。
アズサと和志は恋人同士なので綾も和志が亡くなる前に始めて知った。2人は
そしてアズサ以外の部位員は帰って行った。アズサだけが残った。
今日も誰もいない教室から泣き声が聞こえる。
「アズサ先輩」
アズサ1人しかいない理科室に声が聞こえた。アズサは後ろを見た。理科室のドアのところにたっている生徒がいた。
始めは驚いたアズサだがドアのところに立っている生徒が誰なのか分かるとまた、前を向いた。
ドアのところで立っていた生徒はゆっくりアズサのところに移動すると優しい声でアズサをもう一度呼んだ。
「アズサ先輩」
「○○○○○○……」
「大丈夫ですか?」
「ありがとう。ゴメンね、みっともないところを見てせ」
「いいえ。忘れ物を取りに戻って来ただけなので気にしないで下さい。あの、これ使って下さい」
「ありがとう」
泣いでいるアズサの姿にそばにいた人物はポケットからハンカチを取り出し、アズサに渡した。
涙声でアズサはお礼を言ってハンカチを受け取り、涙を
そばに居た人物はそのまま見守っていた。
顔を隠してから2分後にドサッとイスからアズサが転び落ちた。
一緒に居た人物はアズサが倒れたのに慌てる様子もなくただ、『2人目の天罰』と小さく
洩らした声はアズサの耳には届いていなかった。
アズサと一緒にいた人物は表情を消したまま、ただアズサを見下ろしていた。
とても冷たい瞳で。
次の日。朝から学校は大変な騒ぎになっていた。
綾と渉はいつもと同じ時間帯に登校してきた。綾と渉の教室は2階なので階段を上がる前からもう学校中が騒ぎになってなっていた。
「あやっぺ、あやっぺ、大変だよ」
綾より早く学校に登校していた春奈が綾の姿を見つけると直ぐに綾の元に来た。
「おはよう、春奈。学校中が騒ぎになっているみたいけど何かあった?」
「おはようって、それどころじゃあないのよ!」
「ど、どうしたの?」
綾は隣にいる渉を見た。渉にも何が何だか分からないという顔をしていた。
「どうしたのよ、春奈。とにかく落ち着いて!」
「大変なの体育館で死体が発見されなみたいなの!」
「「えっ!」」
綾と渉は驚いた。春奈は息を切らしながら2人に説明をしていく。
「私もさっき来たばかりだから詳しくは知らないけど、どうやら女子生徒みたいなの」
「!」
綾は渉を見て渉が頷くのを確認してから春奈に話しかけた。
「春奈。確か体育館って言っていたわね」
「うん。バスケ部の生徒が見つけたって」
「ありがとう。渉」
「うん」
「えっ、ちょ、ちょっと綾。それに渉君も。もしかして見に行くの? 行かない方がいいって!」
春奈が呼び止めるのを振り切って2人は体育館の方へ向かった。
体育館に行ってみると入口前では警察の人の姿が見えた。3人くらい立っていて生徒を中に入れさせないようにガードしていた。人が多いせいか奥の様子が分からない。
『お知らせします。生徒の皆さんは一度教室に戻って下さい。もう一度お伝えします。生徒の皆さんは教室に戻って下さい』
放送が流れ生徒が戻り始めた。
「綾、戻ろう」
「そうね……」
綾と渉も教室に戻った。
教室に戻っても教室の中は朝の出来事で話題でいっぱいだった。時間がきて担任から連絡事項が伝えられた。そこで亡くなった生徒の名前が伝えられた。
その名前を聞いた瞬間に教室は再びざわめきはじめた。
亡くなった生徒は2年生の女子生徒。名は熊倉アズサ。2年生で天文部の生徒だったからだ。
名前を聞いた瞬間に綾は驚いた。またも天文部の生徒。
担任の話が終わると今日はそのまま下校するようにと言われた。けど、天文部の生徒だけは第二理科室に行くように言われ、再び教室はざわめいたが担任の声で静かになり今日の学校はここまでになった。
綾は第二理科室に向かった。綾も正式の部員ではないが第二理科室に行った方がいいと思っていたからだ。
第二理科室に着くとドアをノックして中に入った。そこには天文部の生徒と顧問の竹村先生と警察の人がいた。警察の人は2人いた。どうやら綾で最後みたいだ。
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