5ー4
捜査2日目。渉は学校が終わり、急いで家に帰ってきた。今日は手紙の件について捜査する事になっている。
綾は、部活の捜査で一緒に行動しないので、渉一人で捜査するだと渉本人は思っていた。それに今日は綾達、天文部の4名が雫の家に行くと昨日、話していたので早めに家を出た方がいいと思い、家に帰ってみるとそこには簾堂刑事がいた。
「お帰り、渉君」
「こんにちは?」
「秋於と一緒に郵便局に行きなさい、渉。刑事と一緒だと、いろいろ向かうの人が話してくれるだろう」
「質問が全部、渉君に任せるから。今日はよろしく!」
「はぁ……はい」
郵便局には簾堂刑事と一緒に行く事になった。まぁ、大人ではない自分に郵便局の人が事件について、調べていると話しても、高校生の自分に全て話してくれると思えない。むしろ怪しまれるかもしれない。
けど、刑事が一緒だったら素直に話が進むかもと父、蓮は考え簾堂を呼んだのだろうと渉は思っていた。
「じゃあ、行くか渉君」
「はい」
2人は郵便局に向かって事務所をあとにした。
***
放課後、綾は副部長の小雪と若葉以外の1年メンバーで雫の家に向かっていた。昨日は若葉の案内で2、3年の先輩達が雫の家に行ったので、今日は星宮の案内で天文部の残りのメンバーで向かっていた。
***
綾達が雫の家に向かっている中、渉と簾堂は郵便局の中にいた。
郵便局に着いた2人はまず、受付の人に簾堂は自分が警察である事を伝え、ある事件の捜査をしている事を告げると受付の人が一度、席を立って上司に伝えに行き、戻ってきた時には今いる所ではなく、奥の部屋に案内されたのだ。
そこは、ここで働く人の休憩場として利用されている部屋だった。そう、見える。
案内をしてからすぐにここの責任者が来た。支店長さんだろうか。
責任者が見えて簾堂が軽く挨拶をしてから会話が始まった。
「それで刑事さん、お話とは?」
「この近くに住む高校生、青森雫さんが亡くなった事はご存じですよね?」
「はい、ニュースで。自殺と聞いておりますが、まだお若いのに」
「えぇ、ニュースでは自殺とお伝えしておりますが、青森雫さんがどうして自殺まで追い込んでしまったのか、その謎を解かないといけないと思いまして。これから若い者が苦しんで自殺に走ってしまわないように私達大人が、少しでもその助けになればと思いまして。どうかご協力をお願いします」
「はい、分かりました。こんな事は……もう起きてほしくありませんし、ご協力します、刑事さん」
「ありがとうございます」
簾堂が渉を見て質問していいぞと目が語っていたので、渉は質問を開始した。
「雫さんが亡くなる前に手紙を出していた事が分かったのですが、雫さんが誰に手紙を出したのか、分かるような記録帳とかありますか? あるいは、ここで雫さんを見た人はいませんか?」
「申し訳ありません、手紙を誰に出したという記録は残っておりません。でも、少しだけ待って頂けないでしょうか? ここで働く者の中で、見た者がいないか、確認してみますので」
「ありがとうございます」
一度、話を中断して責任者は席から立ち上がって部屋を出て行った。
渉は簾堂と2人になった。
「誰か目撃者がいればいいけどなぁ」
「はい」
十分後に責任者が戻ってきた。責任者が戻って来ると後ろから1人の女性を連れて来た。
「お待たせしました。受付係りをやっている、月野が雫さんと会ったと」
「本当ですか?」
「はい」
「お話を聞かせて下さい!」
「分かりました。月野さん」
「はい」
責任者と女性が席に着くと女性が話し始めた。
「私が雫さんと会ったのは13日の金曜日の朝でした。その日は日直でここの鍵を開ける当番でした。朝の7時40分頃かと思いますが、雫さんとここで会いました」
「ここで?」
「はい。偶然、同じ時間帯に会ったのです。雫さんとは同じマンションの階に住んでいたので、私も雫さんもお互いに顔は知ってしました。私が郵便ポストの手前にいる雫さんに声をかけると雫さんは『手紙を出しに来たのだ』と言っていたので、特に私が手紙を預かろうかと話をしました。郵便ポストに今から手紙を入れるなら、今ここで預かってあげるよと雫さんにお話したら『お願いします』と手紙を受け取りました」
「手紙は何枚でしたか?」
「確か……2枚です。輪ゴムで止めてあり、宛先は見ていませんので分かりません」
「そうですか……」
「急ぎなのかとお聞きしました。けど雫さんから『急ぎではない』と言っていたので私は、『確かに受け取りました』と言って、雫さんに学校に『いってらっしゃい』と言い、そこで別れました」
「ありがとうございます。お話が聞けただけで助かりました」
「いいえ」
「ご協力ありがとうございます」
2人は貴重な話を聞いて郵便局を出て、事務所に戻ったいった。
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