5ー2

 「まずは私が先に読んでもいいかな?」

 「はい」

 「あれ、小雪先輩はもう知っていると思いました」

 「今回は部長と和志君とアズサちゃんで決めたらしいの、多分。聞いただけだからよくは、知らないけどね。私、風邪で休んでじゃあって見ていないの」

 「そうなんですか」

 「そう。まぁ、あとで準備室にある天文部の棚からコピーしたのを借りようと思っていたから今、読めるのはラッキーかな」

 「コピー?」

 綾は疑問に思った事を言ってみた。そしたら副部長の小雪が説明をしてくれた。

 「そう。綾ちゃんが持っているのが多分、で準備室に天文部が使っている棚があるの。そこに原文のしたのが置いてあると思う。いつでも誰でも読めるようにね。コピーは竹村先生がやってくれるのだけど、もう、棚の中にあると思うし」

 「そうなんですか」

 小雪は簡単に綾に説明をしてから先に論文を読み始めた。

 綾と星宮は、小雪が読み終わるのを待っていた。結構、小雪の読むペースは早い。読み始めてから15分くらいはっただろうか。結構、分厚い論文だった。読んでいる途中で『これって』と小雪の口から言葉がれた。

 「小雪先輩、どうしたのですか?」

 不思議がって星宮が話しかけてみた。けど、なんでもないというふうにすぐに小雪の答えが返ってきた。

 「ううん、なんでもないの。ちょっと以外。うーん……驚きかな。竜也君がこんな事を書くなんて想像していなかったから」

 「これって誰が書いたとか、分かるんですか?」

 「うん。書いた人の名前がどこでもいいから、絶対に書く事になっているの」

 「なるほど」

 「あっ、もう時間みたい。続きは時間があった時でいいかな?」

 「はい、お願いします。あの私が論文を預かってもいいですか?」

 「良いわよ。竜也君は綾ちゃんに渡したのだから」

 「ありがとうございます」

 「私が部室の戸締まりしてから鍵を職員室に持って行くから、先に上がってもいいよ」

 「「はい。お先に失礼します」」

 「気を付けてね」

 綾と星宮の2人は、小雪にお辞儀してから部室を出て歩きだした。






 2人は部室から離れて周りに誰もいないのを確認してから、綾が星宮に話しかけてみた。

 「今日はありがとう。おかげで怪しまれずに入れたよ」

 「いいえ。力になれて良かったです」

 「あとは手紙の方だね」

 「はい。今日と明日は無理ですけど、なるべく早く聞いてみます」

 「ありがとう。でも焦らなくってもいいから。自然体でいいから聞いてみてね。先輩の時も自然体でね。といっても先輩じゃあ緊張するかも知れないけど」

 「先輩の時はそうですね。でも、頑張ってみます。聞く時は自然体を心がけていきます」

 「そうね。では、よろしくお願いします」

 2人は校門を出てそれぞれ自宅に向かっていった。




 家に帰った綾は何か手がかりがないのか、さっそく論文を読んでいた。

 「うーん……」

 論文を読んでいるとドアをノックする音が聞こえた。

 「綾、入るぞ」

 「どうぞ」

 渉が綾の部屋に入ってきた。

 声から渉だと分かっていた綾は、そのまま論文を読みながら渉の話を聞く事にした。

 渉は綾が何か読んでいる事は部屋に入って瞬間に分かったので、そのまま綾に声をかけた。

 「綾。父さんが呼んでいる」

 「お父さんが。分かった、今行くよ」

 綾は途中までには読んでいた論文をそのままにして渉と一緒に父のもとへ向かった。

 2人は父のところに行くと蓮は、仕事をしていたみたいで、2人はソファーに座った。

 「どうだい、今日、学校で何か見つけたかい?」

 2人の父、蓮はプロの探偵。まだ、未熟の2人の事を心配していたみたいだ。

 綾から話し始めた。

 「私の方は、無事に天文部には潜入したよ。あと解決のヒントになるかは、分からないけど、12日で使われた論文を借りたの」

 「そうか。渉は?」

 「先生達にもう一度、話を聞いてみた。ほとんどの先生は何も分からないって言っていたけど、先生の中で1人、雫さんの事を気にしていた」

 「もしかして竹村先生?」

 「そう」

 「竹村先生……もしかして天文部の」

 「顧問だよ」

 「そうか。話を聞かせてくれないか、渉」

 「はい」

 渉は竹村先生との会話を思い出すかのように一度、瞳を閉じた。


 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る