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 あの事件から5日も過ぎた。警察の捜査も全然、手がかりもつかんで、いないようだ。学校でも警察の捜査を積極的に協力しているようだが、状況は何も変わらない。

 「あやっぺ、一緒に帰ろう」

 「春奈。いいよ」

 2人は一緒に帰る事になり学校を出た。明日まで部活活動は、禁止されているのでバスケ部の春奈と一緒に帰るのは、久しぶりかもしれない。

 逆に部活に入っていない綾は学校が終われば、すぐに帰宅する事ができる。

 2人は正門を少し出た所で歩くのをやめて立ち話を始めた。

 「あれから5日も過ぎたね……」

 「うん。本当にしーちゃんは、どうしてあんな事を……」

 「いつも通りの明るさだったのに。少し風邪気味って言っていたくらいなのにどうして……どうしてなの、雫。悩み事とかあったら話してくれればいいのに……あんな……」

 2人は雫の事を話していた。

 「春奈は辛いよね。私は中2で初めて会ったけど、春奈は小学校からの友達でしょ?」

 「うん。でも……もっと辛いのは若菜の方だと思うよ」

 「若菜?」

 「そう。若菜はしーちゃんとは、小さい頃からの友達だって前に聞いた事があるの」

 「じゃあ、一番ショックだよね、若菜」

 「うん」

 若菜は風邪が治っていないのと雫の死でショックを受けて、今は学校を休んでいる。

 「じゃあ、また明日ね、あやっぺ」

 「うん、また明日」

 綾が自宅に向かって歩いていた。あとで若菜にメールで元気だしてと伝えようかと考えたが、かえって逆効果になるかもと思いながら歩いていた。いつの間にか家の近くまで帰っていた。

 すると家のところに1人、誰かが立っていた。

 その人は、この場所で本当にあっているのか、それとも違うのかと何回も確認しては、中に入ろうか、どうしょうと迷っているかのように見えた。

 綾は走って家の前にいる人を確認した。そこには、知っている人がいた。

 自分と同じ制服を着ている女の子がいた。綾とは違うクラスだが、顔を何回か、見た事があるので確認する意味で綾は名前を呼んでみた。

 「……星宮サユリさんですよね?」

 「えっ、あっ、滝森綾さん」

 やっぱり綾が知っている人物だった。

 「星宮さんだよね。どうしたの?」

 「実は、ここの探偵事務所に入ろうかと思っていて……」

 「うちに?」

 「うちって……あっ、ここって滝森さんの家なの?」

 星宮と呼ばれた子は、少し考えてから『あぁ』と確認する意味で綾に質問をした。

 「綾でいいよ。そう、ここはお父さんの探偵事務所なの」

 「綾さんのお父さんが?」

 「そうだよ。あっ、お友達とかには言わないでね」

 「あっ、はい」

 「綾、何やっているんだ、家の前で?」

 「渉!」

 「滝森君……そっか、2人は双子だから」

 「そう」

 「星宮がなんでここに?」

 綾と星宮が話していると学校から渉が家に帰って来たみたいだ。

 綾が家に入らないで外で何かしていたから、渉は綾に声をかけた。

 「ここに用があるって」

 「事務所に?」

 「そう」

 滝森探偵事務所のところに立っていた人物は、渉のクラスメイトの星宮サユリだった。色白な肌で髪はストレート。長さは綾と同じくらい。頭が良く、学年ではいつもトップクラスに入るほどの成績を持っている。それは、綾と渉も同じで違うクラスの綾でも星宮の事は知っていた。

 探偵事務所は、朝倉町にあるが隣町でも知っている人はたくさんいる。探偵事務所が少しずつ、いろんな人から人へと噂、いや、何でも解決できる事務所と知られて、いろんな人が来るようになった。

茶色の建物で『滝森探偵事務所』と書いてある看板がある。そして探偵は1人しかいない為、多くの依頼をこなす事は難しいので簡単なものは、綾と渉の双子が手伝っているのだ。

 2人の家が探偵事務所なのは、誰にも言っていないし、秘密にしているのだ。

 「「ただいま」」

 「お帰り、2人共」

 「あっ!」

 「どーも、2人共。大きくなって」

 「「簾堂すどうさん、こんにちは」」

 「あいかわず、息ピッタリだな」

 家に帰ってみるとそこにはスーツ姿の男性がいた。

 男性の名は簾堂 秋於あきお、刑事だ。右の頬に小さいキズがある。簾堂は双子の父、蓮とは親友同士である。幼い頃からお互いに夢を叶えようと共に努力し、夢を叶えた2人だ。

 割りとよく、あるいは、たまに事務所に来るので綾と渉は簾堂の事は、父の友人で刑事だという事は幼い時から知っているのだ。

 その為、簾堂も小さい頃の綾と渉の事も知っている。

 「お父さん、お話し中にすみません。お客さんです」

 「お客さん?」

 「入って、星宮さん」

 綾は星宮を事務所の中に入れた。少し緊張しているのか、なかなか中に入って来なかった。綾は星宮の手をとり、中に入れてあげた。

 「こ、こんにちは。星宮サユリと言います。あの、依頼したい事が……」

 「じゃあ、俺はまたあとで来るとしますか」

 「あ、あの……私はあとでもいいので」

 「しかしなぁ……」

 星宮は先に来ていた簾堂を先にと言うばかりか、控えめな声で話した。

 2人のやり取りを見たいた双子の父、蓮が星宮に提案をしてきた。

 「うーん、君の、星宮さんの依頼は何かな? ここにいる人に聞かれたくない内容かな、それとも平気かな。どちらかな?」

 「あっ、えーと」

 「あっ、簾堂さんは刑事さんだ」

 はぁ~と綾は小さくため息をして渉の前に出て、人差し指を出して渉に向かって『ダメでしょ』と言いながら渉を見た。

 「渉……簡単に個人情報をバラさない!」

 「あっ、やべぇー」

 「平気さ。その子は双子と同じ学校に通っているのだろう」

 「はい、そうです。すみません、簾堂さん」

 綾は渉のわりに簾堂に謝った。簾堂は平気さと軽く笑っていた。

 「で、どうかな?」

 「大丈夫です。ここにいる皆さんも知っている事だと思いますので」

 「知っている事?」

 星宮は決意したかのように一言交わした。

 「はい。自殺したと言われている青森雫さんの事です」

 「「「 ! 」」」

 「……な、なんという偶然だな」

 「えっ?」

 「ここにいる刑事もその事で、ここに来ていたところだよ」

 「「「 ! 」」」

 星宮がここに来た理由は自殺した青森雫の事だった。

 そして先に来ていた簾堂も全く同じ事だったらしい。その場にいる全員が驚いた。

 

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