2ー1

          ***


 昼休みに綾は友達の春奈はるなと外でお昼をとっていた。いつもは4人でとるのだが今日は、雫と若菜が部活で隣町まで行っているので今日は2人だ。

 藤宮ふじみや春奈とは中1の時に知り合った。中1の同じクラスの時に知り合い、仲良くなったのだ。朝霧学園は中等部と高等部と一緒の学園なのだ。

 春菜はショートカットで前髪を少し左に寄せて、ピンめでとめている少女で明るい性格で、よく友達のニックネームを考えるのが好きな子だ。部活はバスケ部だ。

 お昼は自由時間なので天気がいいとよく外か、学食でお昼を取る事が多い。

 この学園は、中等部と高等部と一緒だか、高等部になってからお昼でも放課後でも学食=レストランが使える。中等部の生徒は、お昼には給食が出るので放課後の部活帰りに少し、学食によってもいい事になっている。

 なので、お昼は高等部の生徒だけが使えるので、中等部の生徒は早く高等部にあがりたいと思う生徒はたくさんいると思われる。

 綾と渉が通っている朝霧学園は、中等部と高等部が一緒なので、ここの受験を希望する生徒が多いという。そのまま上がれるのと親達が自分達の子供が高校生になっても、お弁当を作らないでいいのが助かる、中学から高校に上がるさいの学校の受験、手続きなど手間がかからないなど、いろんな理由から助かる事で朝霧学園は人気があり、有名な学園でもある。そのぶん、受験は厳しいが。

 「ねぇ、あやっぺ、今日の放課後って暇?」

 「なんで?」

 「実は放課後、委員会の集まりがあるのだけど今日、金沢君が休みでしょう。私、1人じゃあ心細いというか、なんというか……」

 「うーん、いいわよ」

 「ありがとう!」

 「先生には言ったの?」

 「まだ。私の方から先生には、言っておくからそこは安心して。でも、良かった~最低2人でくる事になっていたから、助かった~」

 「大変ねぇ」

 「まぁ~ね。……あれ?」

 「どうしたの、春奈?」

 「あそこ……正門からゆっくり歩いて来るのてって若菜?」

 「目がいいわね、春奈。えーと……本当に? でも帰って来るの、早くない?」

 「そうだね。確か今日一日は、かかるって言っていたよね。しかも若菜1人って、どう考えてもおかしくない?」

 「うん」

 綾と友達の春奈はゆっくりと校舎に向かって歩いている若菜の姿を見掛みかけて走った。2人が若菜の元にたどり着くと若菜は、もう限界というばかりにその場に座り込んでしまった。

 「ちょっと若菜、どうしたの?」

 「今日は隣町に行ったのでしょう?」

 「……途中で具合が悪くなって帰って来たの」

「うそ!大丈夫?」

 「とにかく保健室に行かないと」

 「そうだね、あやっぺ」

 2人が若菜の話を聞いて、2人で保健室に連れて行こうと話をしていたら、聞き覚えがある声が聞こえた。

 「おーい綾、何やっているんだ?」

 「渉?」

 聞き覚えがある声の正体は渉だった。突然、後ろの方から渉の声が聞こえた。後ろを向くと渉と茂、もう1人の男子がこっちに向かって来た。

 「渉! 丁度いいところに」

 綾は渉達、3人を早くというばかりに手招きした。渉達、3人はなんだろうと思ったのか3人で顔を見合わせて綾の方に向かった。

 綾の方に向かうとちょっと不安げに渉が答えた。

 「な、なんだよ」

 「お願い協力して、若菜を保健室まで連れて行って!」

 「えっ?」

 「具合が悪くって途中から戻って来たみたいなの。お願いします」

 「お願い手伝って、渉!」

 綾は渉達に声をかけた。渉達は、綾と春奈のお願いとぐったりとしている若菜の姿を見て3人は、顔を見合わせてお互いに頷いた。

 「分かった。茂、友樹ともき、手伝ってくれ!」

 「分かった」

 「いいよ」

 「春奈は先に保健室の先生に若菜の事を伝えて。私は、担任のところに行くから。渉達は、そのまま保健室に向かってくれる」

 「うん」

 「分かった」

 綾は、渉と春奈に指示をだして、綾達はそれぞれの行動に移った。

 綾と春奈は、真っ直ぐに校舎に向かって移動を始めた。渉を含む3人は、若菜に声をかけてゆっくりと動き始めた。

 綾と春奈の姿が見えなくなり、ゆっくりと移動していた3人のうち茂が渉に話しかけた。

 「さすが綾ちゃん」

 「ほんと頼れる姉だよ」

 渉達も保健室に向かってゆっくりと移動して行く。

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る