大学二年生(前半)


 去年の傷がようやく回復し、新しい恋を求めていこうと考えた矢先、コロナ騒ぎが起きた。自粛が続き、特定の人以外と会う機会が完全になくなった。春休みに染めた髪も、新しく買った服も披露する前に秋が訪れる。


 だからこそ、SNSでのやり取りや情報収集、交流が盛んに行われていた。


 俺はそこで気になっていた人が「恋人欲しい」と言っていたのに反応した。別に期待はしていなかった。よく上げる自撮り写真が可愛いと思っていたわけでもない。ただ、少し趣味が合うだけ。それだけのことだった。


 少しの興味と友達の煽りに背中を押され、告白した。自分でも非常識であることくらい分かっていた。顔も合わせたこともない上に、相手のことをほとんど知らないのに告白なんて馬鹿げている。でも、それくらい俺の恋愛観は歪んでいたのだ。


 恋人を作るために興味を持つ。相手を好きになるために告白する。お互いを知るために付き合う。今でもその手順が間違いだとは思わない。


「お互いのことよく知らないからお断りします」と返ってきた。


 案の定、返答はNoだった。そりゃあ、顔も知らない相手と付き合うはずがない。


 また一つ、黒歴史を作ってしまったのだと思うと胸が痛かった。告白をなかったことにしたいという気持ちは今でも変わらない。




*大学二年生(後半)へ続く

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