中学校一年生(前半)


 中学校一年生の時の失恋はとても楽しかった。どうしてこれ以降は闇のような失恋が続いているのか分からないくらいに楽しかった。


 中学校に上がると今まで見えていた景色が一気に変わり、おそらく好きという概念も変わった。


 入学からしばらくして、クラス内のグループが少しずつ確立していた頃、俺は仲の良い女子グループの一人を好きになる。決め手とかそういうのはなく、ただ、フレンドリーで接しやすいし、いつでも明るく、たまにギャグを言ったりボケたりするので、一緒にいて楽しかった。そういう明確な理由を後付けをして、好きであることを確立させた。


 んまぁ、この話が一番面白い理由は、俺含む仲良しの三人が同じ人を好きになったところにある。ちなみに、喧嘩とか、そういうのは一切ありませんでした。中学生って平和だね。


 それで、片方の友達が


「誰が好きなの?」


 と訊き、


「じゃあ、私が好きな人を教えたら、そっちの好きな人も教えてよ?」


 的な、いわゆる等価交換をしようという話になっていた。俺ともう片方もその話の場に居合わせていて、運良く(?)その子の好きな人が誰なのかを聞くことができた。


「私ね、好きな人というか、実はT君と付き合ってるの」


 全く予想だにしない相手であり、それだけでなく、付き合っている……そう、仲良し三人組は一人残らず負けたのだ。


「んじゃあ俺の好きな人教えるね。おまえ」


「まじ? ありがとー!」


 いや、そのまんま告るんかいっ!!


「てかさ、私の好きな人聞いたから、二人も教えてよ」


「俺も、おまえが好き」


「ありがとうね」


 俺はもう逃げ場はなかったし、どうせならという軽い気持ちで言った。


「お、俺も俺も!」


「えー? 嘘っぽい」


 もう片方も告白して無事(?)終わり。


 少し後の話をすると、その子とは二年生も同じクラスだったので、物凄く気まづかった。


 そして、告白の前の話ではあるが、俺はたまたま偶然、その子のパンツを見た。あれが(今のところ)最初で最後のラッキースケベだった。




*中学校一年生後半へ続く

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