第4話
1年たった。結婚式も終え2人で静かだけど幸せに暮らしていた。お互い忙しかったが家事も2人で分担しながら支え合っていた。ある日授業をしていると校内放送で呼ばれた。何事かと思い急いで職員室に向かうと教頭先生が電話を持って待っていた。
「どうしたんですか?」
「奥さんの病院からです。突然め倒れたそうで
す。授業の事は私が代わりにやりますので急い
で行ってきてください。」
「すみません。ありがとうございます...!」
急いで荷物をまとめ病院に向かった。
病院に着き彼女のいる部屋に入ると彼女はいつもと変わらない様子で椅子に座っていて他に看護師が1人と先生が1人いた。
「どうしたの?」
「どうしたのって...倒れたって聞いたから」
「あぁ...ちょっとめまいがしただけだよ。もう大
丈夫、単なる風邪かなにかよ」
「旦那様ですか。来ていただいてすみません。ど
うぞお座りください。」
「はぁ、失礼します...」
「えー奥様ですが、めまいや、食欲の低下などを
仰っていて、一応念のため検査したところ、お
めでとうございます。妊娠していましたよ」
「本当ですか!?」
僕は嬉しさと緊張に襲われていた。これからは彼女だけを守るのではなく新たな生命も守ることになったからだ。ふと彼女の方を見るとなんとも言えない顔をしながら笑っていた。嬉しいのか悲しいのか分からないけど、僕とは違う気持ちだろう。きっと彼女は「いつか全て失うのにどうして大切なものが増えていくの?」と思っていたんだろう。僕が彼女がそう思っていると感じたのか、彼女はまた静かに笑った。
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