第2話

ある時偶然寄った本屋で彼女と遭遇した。だがいつものように声をかけようにも、大学内ならまだしも全くのプライベートで会うのは初めてだったから声をかけようか迷っていた。どうするか考えながら彼女の後をついていってしまった。彼女は通りかかったカフェに入ったので自分も入るとドアを開けた瞬間彼女が僕の方を睨みつけていた。

「どういうつもり?」

「え、いやえーと...」

言い訳をしようとすると入ったのに何も頼まず出るのは失礼だと彼女に引っ張られて席に座らされた。

「それで...どういうつもりだったの?」

まさかこんな事になるとは思っていなかったから

何を言えばいいか分からなかった。

「会ったのは偶然で何となく気になったからつい

 ていってしまって...初めて会った時から好きだ

 ったので...」

彼女はコーヒーを飲んだまま僕をジッと見つめた

「...本気で言ってるの?」

「もちろん、嘘は言ってないです」

何故か敬語になってしまう。彼女はコーヒーを飲み終え1つため息をして改めて僕の目をまっすぐ見つめた。

「ならこれから私を追い回すような真似はしない

 で」

そう言って荷物をまとめて立ち上がる。

やっぱり振られたか...


「これからは私の隣で同じスピードで歩きなさ

 い」

僕の方を振り返る事なく伝票を持って行ってしまった。呆気に取られていると机の上に紙が置いてあるのに気がつく。彼女の連絡先が書いてあった。

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