劣っているのは人か、機械か

第32話 さぁ、戦争を終わらせるぞ

「総員、準備は良いな？ツチノコ、クロノス、始めろ！！」

『クロノス、お、お願いね！！』

『大丈夫、俺が守る。』

　―――ゴォオオオオオオオン！！

『早い、ひゃい、早いよぉ……！！』

「サラマンダー、トロイア！！戦場を乱せ！！」

『今やってらぁ……！！』

『あは、あは、はははははｗｗｗ』

『こ、こいつハイになると怖えんだけど……。』

「ニルヴァーナ、そっちはどうだ。」

『ん～順調～♪遊んでる余裕あるだけど。ねぇ、私もウイルス作ってネットワークに垂れ流して良い？』

「サラマンダーの事を忘れんようにな。」

『それは大丈夫、ちゃんと識別コード組むから～♪』

『、ぇ、俺のウイルスよりも数多いんだけど！？』

『げっ、ウイルス蔓延スピード早過ぎんだけど！！？』

『さ、飛び込んでらっしゃいなお2人共。』

『『こんなコアに悪い所入れるか！！』』

　流石は規格外の1体、ニルヴァーナ。活動中のツチノコとサラマンダー、トロイアのスパコン唸りまくってるんだけど。何で静かなの。……クロノスも静かだし、何なら熱すら纏ってないんだけど。

「クロノスは大丈夫？」

『ああ、問題ない。ツチノコ、君さえ余裕があれば倍のスピードで探索してくれても構わんが。』

『僕が無理～！！』

『サラマンダー、トロイア。君達のログも書き換える余裕があるのでこの際、サラマンダーの事は気にしなくて良い。』

『おい、この野郎。』

『代わりにサラマンダーを識別出来なくなったウイルス全てを俺が反射させる。サラマンダーも、何も気にせずに戦場に突っ込んでくれ。俺が守ってやる。』

『っ、こいつら本当に規格外過ぎるだろ……！あぁもう、やってやらぁ！！どうなっても知らねぇからな！！』

『あ。ねぇイージスちゃん、ネクロポリス。人間さんからミサイル飛んでくるわよ。』

『もう展開してるわ。いつでも来なさいな。』

『つーか、あいつら隠す気なさ過ぎだろ。しかもこれ、小手調べのミサイルだろ？俺でも落とせるっての。』

『ほんじゃ、舐めてかかってきた事のご褒美をやらねぇと。』

　リビングの窓からも視認出来る距離まで飛んできているミサイルに、流石に固まってしまう。

　ほ、本当に大丈夫なんだろうな！！？

『ラグナロク、良いな？』

「ああ、構わん。蹴散らせ。」

『うし、じゃあみ～んな良い子に回れ～右！』

　革命軍側で良かった、そう思った最初の瞬間は皮肉にも同じ人間達側からの攻撃であるミサイルがネクロポリスの一言だけでまるで忠犬のようにするり、と自然に方向転換して飛んできた方向へと綺麗に帰っていくミサイルを見た瞬間だった。

『ひひ、どんな反応するかな～次弾は打てるかな～アッハハｗ』

　こっちもこっちで何でスパコン唸らねぇんだこのハイスペック共が。

『、あ、ね、ねぇ！ラグナロク、ラグナロク！』

「お、見つけたか？」

『見つけた！！多分、多分あれがそう！！』

『俺の方でも確認した。あれは十中八九本物だろう。』

「よくやった。では、データを送り、お前達はここまで引き返してこい。」

　いよいよ、私の出番だ。

　緊張しながらいつものゲーミングPCの前に座り、キーボードに手を掛ければ一足先に私のパソコンに潜り込んだラグナロクがにやり、とシニカルに嗤う。

『さぁレディア、お前の実力を見せてくれ。』

「後でがっかりだとか言うのなしだからな！！」