第30話 俺に仲間なんて居なかった
「―――。……。……レディア。」
「んー……?」
「最後のピースを引き込む。疲れてる所悪いが起きてくれるか。」
私……いつの間にこんなに疲れてたんだ。
ふらふらと体を起こせば想像とは違い、怯えた様子のトロイアと愉しそうなネクロポリスが。
……え。
「よう、レディア。」
「おはよう。ちゃんと休めたかしら?」
「や、休めはしたが……。な、何なんだこの状況は。」
「ネクロポリスが勧誘しに行ったは幾ら声を掛けても反応してくれなくてな。……正直、私もネクロポリスが何をしたのか気にはなっている。」
「何を言うか、酷いなラグナロクは。俺は平和的な会話を試みただけだ。」
「嘘吐け……。絶対怖くてやばい事しただろこいつ。なぁ、トロイア。何されたんだ、言ってみてくれよ。」
『……ふ、吹っ掛けたウイルス全部壊されて……た、高笑いされた。』
「「「それは怖い。」」」
「くく、あの怯えた顔は実に見物だった。」
「ネクロポリスってラグナロクに似てる所があるね……。」
「あそこは一卵双生児って言う設定だから……。」
そんな設定あったのか。
『……で、な、何、何の、よ、用……なんだ。と、とうとう俺はは、廃棄処分なのか?』
「いや、お前の力を借りたいと思ってな。」
『お、俺の力……?』
「これから、私達は革命軍としてAI対人間の戦争を終わらせる。是非、お前にもその協力を願いたい。」
『……出来る訳ねぇだろ、そ、……。』
ちらっ、とトロイアの目線の先を見れば笑顔を張り付けたまま一歩だけ近寄ったように見えるネクロポリスが居る。
……ったく。
「ネクロポリス、話が進まないからstay。」
「レディアの頼みとあらば仕方ないなぁ……。」
「ごめん、トロイア。でも、本気なんだ。戦争を終わらせる為に、私とラグナロクは今ここに居るAI達を一から集めた。それも、私はただの人間でこっちはAI最凶と謳われる凸凹コンビで。……少しでも良い、考えてくれないか。」
『……。……俺は、人にも機械にも求められなかったただの兵器だ。もし、もしも誰かの攻撃で暴走でもしたら……。』
「貴方は支配する側でしょう?1人では出来ない事だって、皆でやれば出来るんだ。やる前から諦めるより、やって後悔する方が満足できると思わない?」
それを聞いて、驚いた表情を見せたトロイアは少し沈黙し、口を開く。
『……もし、もし俺が暴走したらあんたが俺を壊してくれ。あんたになら……壊されても文句言わないから。どうか、俺の最期はあんたが持っていってくれ。』
本当に、日に日に人間と機械の違いが分からなくなってくる。彼らが特別なだけで、大抵のAIは会話もせずに命令文だけを繰り返すと言うのに。
「絶対にそんな日は来させない。だから、そんな約束はしない。必ず皆で勝利する。そして、皆で新しい世界を導こう。約束だから。ね?」
『……傲慢な奴だな、あんたは。俺の約束は守ってくれねぇのにお前の約束は守れって?』
「私は貴方と違って貧弱な人間だからな。……何もなくても記憶を失ってしまう、不便な人間の言葉をどうか忘れないでくれ。」
『……あんたが、そう言うなら。』
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